「エンゼルスのオフの補強ポイントは明確でした。先発ローテーションをしっかり守ってくれるピッチャーです。先発投手が『あと2人』いれば、優勝争いに食い込める、と」(米国人ライター)
19−20年オフ、米FA市場の目玉投手と目されるゲリット・コールも狙っているという(19年12月時点)。しかし、エンゼルスは外部補強したバンディをローテーションの主軸に据えるものの、長期連戦の初戦、首位決戦など重要な試合は大谷を登板させていくつもりだ。エンゼルスは18−19年オフの補強で手痛い目に遭っている。その失敗を繰り返したくないからだ。
「年俸1100万ドル(約12億1000万円)プラス出来高で獲得したマット・ハービーが期待外れだったからです。近年、故障が続き、成績が低迷していましたが、代理人の売り込みを信じ、大型契約を結びました。エースとして期待して獲得した投手がコケると、チーム全体の士気が下がるんです」(特派記者)
投手の練習を再開させた大谷が、重要どころの先発を託されるのでは…。そんな予想も聞かれた。
「投手・大谷」の回復具合だが、長いイニングを投げられるようになるのは、GW明けとなりそうだ。しかし、バンディの獲得に絡めて、こんな情報も飛び交っていた。
「バンディは2年連続(18、19年)で勝利数よりも敗戦数のほうが多いピッチャーです。しかし、長いイニングを投げてくれる『イニングイーター』であって、先発、中継ぎ、クローザーとピッチャーの分業化も定着した野球界において貴重な存在です。チーム貢献度の高いピッチャーです。バンディが先発したら、中継ぎ投手を1、2人、確実に休ませることができます」(前出・米国人ライター)
大谷は、ローテーションの主軸として使いたい。しかし、ペナントレース序盤は短いイニングしか投げられない。通常の首脳陣の判断であれば、「先発投手の責任イニングである5、6回を投げられるようになってから」となるのだが、イニングイーターのバンディを獲得できたので、バンディが投げる試合ではその後に登板するリリーフピッチャーを減らすことができる。その分を大谷が先発する日に回せば、大谷を「ショートスターター」として、ローテーション入りさせることができる。これが、エンゼルスの序盤戦の戦略だ。
「ひょっとしたら、開幕投手もあるのでは?」
そんな声も現地では聞かれるという。
ショートイニングの登板なので、通常の先発登板ほどの体力消耗はない。翌日、「野手」としてのスタメン出場も可能だろう。
2020年は開幕投手、開幕第2戦は4番なんて「二刀流の復活劇」が見られるかもしれない。大谷にとって、2020年は飛躍のシーズンともなるだろう。(スポーツライター・飯山満)