金子にとって神戸は、2006年4月12日にオリックスでプロデビューを飾ったゆかりのある球場。当時の名称はスカイマークスタジアムだった。
「所々、ボール先行になってしまったんですけど、ある程度ストライクゾーンで勝負することができたと思います。なので、ランナーを出してからも、その後を抑えられました。今日は今までの登板に比べてストレートをしっかり投げられたと思います」
という金子は古巣オリックス打線を相手に、4回1/3までノーヒットピッチング。唯一ヒットを放った後藤駿太以外はタイミングを合わせられなかった。金子は5回を54球、5奪三振、無失点の内容で勝利投手の権利を残したまま降板。打線が好投を続けていた山本由伸を捕まえて4得点。オリックスのホームラン攻勢で1点差まで詰め寄られたが、終盤に突き放し連敗を止めた。金子はオリックスから今シーズン初勝利を挙げたことで、史上18人目となる12球団からの白星を記録している。
拍手を送る古巣オリックスファンからの拍手にも手を振りながら、初めて神戸の“三塁側”ベンチ前でヒーローインタビューに臨んだ金子は「相手がオリックスだったので嬉しいけど、3連敗だけは阻止しようと思って投げました。(オリックス先発の山本は)いいピッチャーだというのは分かっているので、先に点を取られないようにしようと思ってたんですけど、今日それが出来て良かったと思います。初登板がここ(神戸)だったので、平成最後もここで勝利を挙げられて嬉しく思います」と喜びを口にした。
金子は一昨年のオフ、全国放送の地上波番組に出演した際、「プラスワン次世代枠」として山本を紹介しており、「僕より器用。1年目から150キロを普通に出すので期待しています」と当時高卒1年目のルーキーだった山本を紹介しているほど評価が高い。そんな山本と投げ合う日が来るとはこの時は思いもしなかったはずだが、今後は投げ合うことで、山本を始め若いオリックス投手陣にとって高い壁として立ちはだかることだろう。
なお、金子は改めて「先発でも中継ぎでも」と栗山英樹監督の起用法に対してこだわらない姿勢を明らかにしている。
文 / どら増田
写真 / 垪和さえ