DeNAにとっては、まさに青天のへきれき。昨オフには、通算191試合に出場した細山田武史捕手(27=ソフトバンクに育成で移籍)を戦力外にしていたため、これで、計算が立つ捕手は高卒3年目の高城俊人(20)と黒羽根利規(26)の2人だけになってしまった。
人的補償はプロテクトされた28人を除いた選手の中から相手球団が選ぶことになるが、主にプロテクトされるのは主力選手、将来有望な若手選手が中心となる。
では、なぜ鶴岡は正捕手で欠かせない戦力でありながら、プロテクトから外されていたのか? それは、DeNAの読み違えにほかならない。
某スポーツ紙記者のA氏は「阪神は当初、将来性のある若手投手の獲得を目指したようです。それを読んだはずのDeNAは『人的補償は若手投手』と判断し、ベテランの鶴岡をプロテクトから外していたのです。捕手余り状態の阪神が、『まさかベテラン捕手を指名してこないだろう』と読んだわけです。ところが、プロテクトから外れた若手投手にめぼしい選手がいなかったため、方向転換して、即戦力になる鶴岡の獲得に踏み切ったようです」と語る。
阪神には正捕手の藤井彰人(37)の他、12年オフにFAで獲得した日高剛捕手(36)もおり、今季は鶴岡を加えたベテラン3人で、ポジションを争うことになる。この他にも、阪神には、清水誉捕手(29)、小宮山慎二捕手(28)が控えている。今成亮太捕手(26)は出場機会を求めて、昨季途中、外野手に転向したほどで、捕手が多すぎる状態だ。
読みが外れて、正捕手を奪われてしまったDeNA。捕手は経験が必要なポジションで、高城、黒羽根の2人で、長いシーズンを乗り切るのは厳しい。これでは、捕手がだぶついている阪神に頭を下げて、トレードを打診することにもなりかねない状況。
「鶴岡をプロテクトしておけば良かった」「細山田をクビにしなければ良かった」などと言っても、後の祭りだ。
(落合一郎)