私がキャバ嬢を卒業してから、ママのいるクラブで働き始めた頃のことです。貿易会社を経営しているSさんと私は出逢いました。
その店のママも元々キャバ嬢から独立された方で、Sさんとママは10年のお付き合いだとか。ママも信頼されている方のようだし、と、私もSさんと親しくなり、頻繁に同伴する仲になりました。
私の誕生日が近くなった頃、Sさんは私に毎日のように電話をかけてくるようになりました。私がお仕事中で電話に出られないと必ず留守電を残して、連絡を返さないと逆切れ。いつもダンディなSさんなのに、どうしたのかしら、と思っていました。
ある日Sさんからこんなメールが。
「まちこちゃん、誕生日は何が欲しい? それから当日は15時に待ち合わせたいんだけどいいかな?」
15時!? 同伴の待ち合わせにしてはあまりにも早すぎます。
「ごめんなさい、ご存知のように、私お昼はOLなの。15時待ち合わせは難しいです…」
と私。
「なんで!? 誕生日くらいいいじゃない! 俺のために会社を休んでよ! そのぶんのお金は払うから!」
なんという無理なオファー。でも、なぜそこまで15時にこだわるのかしら? お店のオープンは21時だというのに…。一通り丁重にお断りしたあと、私はSさんに軽い気持ちでお尋ねしてみました。
「ねえSさん。そんなに早く待ち合わせてどこにいくつもりだったの? 私ゴルフはできないよ?(笑)」
するとSさんの素性が明らかになりました。
「え…、なんでって、シャワー浴びるからに決まってるじゃん。まちこちゃんの特別な日なんだし…」
な、なんですって? なんと、あんなに信頼していたSさんまでヤリ目的だったのです。私は堪忍袋の尾が切れて、直接こんな内容のメールを送りました。
「ホステスをバカにしないでください。私は身体を売って金のある人間の愛人になるような○○(Sさん一行がお店に連れてくる女の子)ちゃんとは違います」
その後、Sさんからの長い長い謝罪のメールが何十通も送られてきました。
あれから数年経ち、未だに連絡がきますが、私は一切返事をしておりません。金のある男って、なぜ、金で何でも手に入ると勘違いしているのかしら?
さあ、今日もこれから出勤ですよ。また来週お会いしましょう。
文:秋田まちこ
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