担当の寺本秀雄厩務員は、「(厩務員生活)30年目にして、3億円の宝くじが当たった気分だったよ」と感慨深げ。人馬ともGI初挑戦での快挙達成というから、すごい強運の持ち主だろう。
ここまでは、障害のブロードマインドで、中山大障害を2度優勝(1993年秋、94年春)。2年連続で最優秀障害馬に選出されたことが最高の勲章だった。しかし、ジャパンC優勝はそれにもまして格別の重みがあった。
「AR共和国杯を勝った勢いで挑戦して、デムーロ(騎手)が120パーセントの能力を引き出してくれた。すべて歯車がうまくかみあって、競馬の神様が降りてきてくれたのさ」と、照れ笑いを浮かべる寺本さん。とはいえ、ディープスカイ、ウオッカの両雄を破ったのはまぎれもない事実であり、実力を疑う余地はない。
ただ、ジャパンCが鮮烈だっただけに、有馬記念5着、阪神大賞典4着、天皇賞・春14着は物足りない。口さがないファンからは、“燃え尽き症候群”とか、“一発屋”と揶揄(やゆ)する声も聞こえてくるが、最終追い切りを無事終了し、再び歯車はかみ合ってきた。
「天皇賞は目に見えない疲れがあったし、結果的に距離も長すぎた。その点、今回はすべての面で条件は好転している」と、巻き返しを誓う寺本さん。「このまま終われないよ。投票(ファン投票6位)してくれたファンにぜひ、恩返ししたい」。実力通り走れば、再びベストパフォーマンスを見せてくれるに違いない。