大黒は2003年に結婚して以降、それ以前から患っていた複数の婦人科系疾患の治療と不妊治療を並行して行っていたものの、最終的には子宮を全摘出することとなり、2度の手術を経て、2016年頃には完治した。しかし、体力の限界や年齢などを考慮して、2017年には不妊治療を断念していたという。
不妊治療を断念してからは、2人でネコ達と楽しく暮らしていくことを決意した筈だったが、次第に夫に対して罪の意識を抱くようになった大黒。“このまま罪の意識を背負いながら2人で生きるよりも、1人になって彼の幸せを純粋に応援して行くほうが潔くて自分らしい”と考えるようになったという。
その後、夫は大黒と離れることを嫌がったが、度重なる話し合いの結果、2人は2018年に離婚に合意した。大黒は約14年間にも渡る長い不妊治療の末、大切な人を手放すと同時に、いつまで背負い続けるかも分からない重い罪の意識から解放されたのである。
近年、国内では不妊治療による出生児数は増加傾向にある。例えば、10年前の2009年度では2万6680人から、5年後の2014年度には4万7332名と2倍に上り、21人に1人が不妊治療によって誕生していることを示した。それから3年後の2017年には5万6617人で16人に1人という割合となり、年々増加傾向を見せている。
不妊治療による出生児数の増加に伴い、不妊治療による妊娠・出産への希望が高まる一方で、夫婦どちらか、あるいは双方の身体の事情や年齢の限界に立ち、泣く泣く不妊治療から身を引かなければならないケースもある。
そうした夫婦の、その後の人生に対する選択は様々。子を諦めて夫婦2人で暮らす覚悟を決めたり、養子縁組を利用して養子を迎えたりする夫婦もいれば、離婚を選ぶ場合もある。中でも、今回の大黒のように、女性側が妊娠が望めない身体となってしまったケースでは、同じく「罪悪感」に苛まれて離婚を選ぶパターンも少なくはないようだ。
大黒は23日に放送された「とくダネ!(フジテレビ系)」の中で離婚について触れ、今後も、元夫やその新しい家族の幸せを守りたい意志を見せていた。また、同日に放送された「めざましテレビ(フジテレビ系)」では、元夫と新しいパートナーとの間に赤ちゃんが誕生したとの報告を受けたことについて、「彼女には大感謝している」と述べている。
離婚を選ぶケースには、夫婦間の信頼度が下がってしまったことで共に生きる目的を見失ったり、辛さから逃げたかったというネガティブな理由が大きい。心理的に自分を解放してやることは大事なことだ。しかし、大黒のように、そこも「自分の弱さ」と理解して乗り越えた上で相手の幸せを願い、かつそれを公表するということには、精神的な強さが必要である。
大黒の勇気とポジティブな強さは、同じ環境に身を置く夫婦の心理に影響を与えている。ネットでは、「めっちゃ共感できて泣いた」「勇気ある決断に涙が止まらない」「大黒摩季、強いなぁ」など、称賛の声が集まっている。
そして、大黒の今後の幸せな人生を、誰もが願ってやまない。
引用参考文献
厚生労働省:生殖補助医療を巡る現状について
https://www.shojihomu.or.jp/documents/10448/7388932/1128sankou-siryou2-5.pdf/2ad6b7d9-f131-416c-a8d0-e78868f9fd48
日本産婦人科学会2017年ARTデータブック
http://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/2017data_20191015.pdf
文:心理カウンセラー:吉田 明日香