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男と女の官能事件簿 不倫で妊娠させた女性を殺害し自宅に埋めたイケメン男(2)

 妻子のいる本宅と明美さんの住む別宅との間を行き来する生活を楽しんでいた山下だったが、2004年の春頃に事情が変わる。明美さんが妊娠したのだ。

 さて、山下の家庭というのは、特に問題があった形跡は無い。山下自身は営業マンの仕事をキチンとこなしており、妻もまた国際線の客室乗務員としてバリバリと働いていた。収入に不自由は無く、夫婦仲が悪いわけでもない、ごく普通の家族だった。
 山下自身も、家庭を壊す気などまったく無かったのだろう。山下にとって明美さんは、あくまで遊び相手、浮気の対象でしかなかったことは明らかである。
 しかし、妊娠したとなると話は違う。これをきっかけに、明美さんは山下に結婚を迫るようになっていった。
 ところが山下は、はっきりとした返事もせず、そのままずるずると不倫の関係を続けた。
 「女なんて、いざとなればどうにかなるさ」
 学生の頃から「イケメンでモテ男」という経歴の持ち主だったため、山下には女性というものを甘く見る傾向があったのかもしれない。

 だが、身ごもった女性は強かった。優柔不断な山下に、明美さんは何度も結婚の返事を求めた。
 そうした彼女の度重なる要求に、山下はついに「わかった、妻とは別れる。結婚しよう」と返事をしてしまう。当然、離婚する気などはまったくない。まだ「どうにかなる」などと、山下は思っていたのだろうか。
 その年の夏頃には、明美さんのアパートでは山下と連れ立って歩く彼女の姿が目撃されている。近所の住民たちは、「新婚さんだとばかり思っていた」と口をそろえる。その頃には、明美さんのお腹も大きく目立つようになっていた。
 そして、10月には明美さんは勤め先を退社。同僚たちには「寿退社」と告げていたようだ。

 さらに明美さんは、新潟に住む両親に、「結婚することになった。年明けには2人そろってあいさつに行きます」と連絡を入れていた。
 この時期になって、ようやく山下はことの次第に気づいた。もうごまかしはきかない。
そして、年も押し迫った12月21日、明美さんのアパートで、山下は「やっぱり結婚は無理だ」と告げる。
 その言葉に、驚いた明美さんは山下に詰め寄った。しかし、山下の口からは無責任な言葉が漏れるばかりである。
 いつしか2人は口論となり、激しく言いあうようになっていった。
(つづく)

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