ローマ市内には40カ所以上のマック店舗があり、そのうちいくつかはスペイン広場やナボーナ広場などの名所の近くにある。ただし、古代ローマ地区の真ん中には設置されていない。
「マック店舗の建設計画を巡っては、3世紀に作られたカラカラ浴場のある遺跡地区でハンバーガーを販売する考えに市当局が強く反対していました。ローマ市長もツイッターで『ローマの遺跡は守られなければならない』とコメントしています」(在欧日本人ライター)
ところが、ローマ法王のお膝元であるバチカン市国のサン・ピエトロ広場から目と鼻の先の場所に、枢機卿らの反対にもかかわらず16年12月30日にマックがオープンしている。
「店舗が入った建物の階上に住む枢機卿らは、欧米の消費主義の象徴といえる同社の出店に反対し、かつテロ攻撃のリスクが高いとされるエリアに、さらに人を集めるような出店は正気の沙汰ではないとしていました。また地元住民らも、歴史的なエリアが壊されるとの懸念を表明していました。市民の1人も『法王は多国籍企業に反対しているはずなのに、その当事者がバチカンの土地をマックに貸し出したことにビックリです。この地域全体がダメになってしまうのでは』とコメントしていたのは印象的でした」(同・ライター)
バチカンがマックを認めたのは、背に腹は代えられずという事情もあったのだろう。
「ローマ法王庁の不動産管理などを担う聖座財産管理局が、マック側へ敷地を貸与することで、月3万ユーロ(約370万円)がバチカンの財源に入ることになったのです。まあ現実路線と言えるのではないでしょうか」(同)
カラカラ浴場やローマ法王庁地区はれっきとした世界遺産だ。だが、マックの扱い方はハッキリと分かれたようだ。