「育成所での評判は高かったが、四肢に飛節軟腫が1本ずつ出てデビューが遅くなったんだ」。同馬が3歳時、平田調教師から、こんな話を聞いたことがあったが、時に“究極の末脚”はもろ刃の剣となってしまうのも事実。その飛節軟腫はスクミの原因にもなり、一昨年4月のフローラS以来、およそ2年2カ月、勝利の女神にソッポを向かれている。
しかし、堀部助手が「今は昨年と違って古馬の雰囲気が醸し出されている」と言うように、前走時の馬体はデビュー以来、最高の470キロ。泣きどころであった体質面がしっかりしてきた。
2走前は休み明けで論外のドシャドシャ馬場。そして、前走の金鯱賞も枠順と展開に泣かされ結果は伴わなかったが、陣営は復活へ向け、確たる手応えをつかんでいる。
「今は思い通りの調教ができるし、食べたものすべてが実になっている感じ。中2週で使えるのも状態がそれだけいいから。広いコースにかわるのもプラスだし、梅雨時といっても、まさか去年のマーメイドS(重)みたいにはならんでしょう」
堀部助手が自信満々に胸を張る今回こそ、あのウオッカ級の鬼脚が戻ってくるに違いない。