ようやく荒武者にG1の女神がほほ笑んだ。ここまで満身創痍の天山広吉を下した1勝だけだった後藤は、この日のメーンでBブロック単独トップを突っ走る中邑と対戦。負ければリーグ戦敗退のガケっぷちだったが、荒武者はいつになく落ち着き払っていた。
まさに沈着冷静な試合運び。中邑が必殺ランドスライドを繰り出そうとすればネックブリーカーで反撃。飛びつき腕十字を決められそうになったが、牛殺しでピンチを回避した。ことごとく逆境をはねのけ、最後は伝家の宝刀、昇天。14分22秒の激闘に終止符を打った。
同期で同じRISEのリーダーを破った後藤は「どんだけ実績あると思ってんだ、アイツは。その中邑から獲ったんだぞ」と興奮気味。初出場での全勝優勝を掲げながら、開幕から不本意な戦いが続いていたとあって、納得の1勝に「オレのG1はきょうが始まり」とすぐさま気持ちを切り替えた。
なお、この日は前年度覇者の棚橋弘至が、ジャイアント・バーナードに敗れてまさかの予選リーグ敗退が決定。天山も永田裕志に敗れて予選敗退が決まった。試合後にはGBHに襲われ、盟友の小島に救出される一幕もあった。
菅林直樹社長が優勝候補にあげた中邑を破って、ラストスパートに弾みをつけた後藤。勝ち点4で決勝トーナメント進出に踏みとどまった荒武者は「オレの人生はいつも苦しんだ分だけ、その後なにか帰ってくる。G1だってここからだ」と最後の巻き返しを誓った。