さて、夜のお店にはつきものの「罰金」について、あなたは聞いたことがありますか?
遅刻したら○万円、同伴ノルマを達成できなかったら○万円、お店の物を持って帰ったら○万円など、様々なルールがあります。そのルールひとつひとつに罰金制度が設けられているのですが、それがいちいち高いのです。
ですから、そう簡単にはルール違反ができません。しかし、いくらルールと言っても人の気持ちに関わる問題はそうもいかないようです。
罰金制度の中に「スタッフ同士の恋愛禁止、罰金100万円」というものがあります。おそらくどのお店も同じくらいの金額だと思います。
最初は「えー! 100万円も払うの?」と思いましたし、100万円を払ってまで恋愛しようなんて誰も思わないだろうと思っていました。
ですが、あるお店で勤務をしていた頃、黒服とEちゃんの恋仲が噂されました。
そんな頃、私と部長とミーティングを兼ねて居酒屋で飲んでいた時に腕を組んだカップルが入店していきました。
そう、Eちゃんと黒服です。
それを見た部長はその場で激怒! 周りに人がいるのも関わらず怒鳴り散らしていたので、あわててお店に急行しました。
お店のルール通り、スタッフ同士の恋愛は厳禁ですし、罰金100万円を支払ったうえに余儀なく退店までさせられてしまいます。
その話を懇々とされ、泣き出してしまったEちゃん。でもその次の瞬間、更に事態は悪化してしまったのです。
「私、今妊娠しているんです。だから100万円なんて払えません」
と言い出したのです。
そのことは黒服も知らなかったようで、彼を含めその場の全員が驚きのあまり固まってしまいました。
ですが、ルールはルール。知っていて破った人間が悪いのです。いくら妊娠していようが、泣き落としで通用する世界ではありません。1人あたり100万円なので、2人で200万円支払わなければならないのです。
それでもEちゃんは泣いて訴えます。
「せめて2人で100万円にしてください、健康な赤ちゃんを産みたいんです」
結局、部長もそこまで鬼にはなれず、100万円を支払わせた後に、お祝いとしてその100万円を返してあげるのですが。
いくら事情があったとはいえ、罰金の値引きを懇願する人を初めて見てしまったレイでした。今はEちゃんも、3人の子供を設け幸せそうに暮らしていますよ。
ライター:竹内レイ
1986年生まれ 愛知県在住
元キャバクラ嬢の経験を生かした恋愛テクニックが得意
http://ameblo.jp/rei-takeuchi/