まず、林は「2か月前、待ちに待ったアレが発売になりましたね…広辞苑の第七版。みなさんはすでに買われましたか?」と意気揚々と広辞苑の改訂版が発売されたことを口にし、「辞書は引くものではなく読むもの」とこの日のテーマを紹介。
林は「『知』というものは、無数にバラバラの形で世の中に散らばっているんですよ。それを(辞書は)50音順で無理やり並べたんです。例えば、(広辞苑で)『歌舞伎』と開いたら、ふっと気付いたら『荷風(かふう)』って書いてあって。荷風って引いて、荷風を見たら『永井荷風を見ろ』って書いてあって、ここで僕の知の冒険が始まりました」と林が広辞苑に楽しさを感じたキッカケを話し始める。
「それなら、『(森)鴎外』はどうだろう?当然、鴎外はあったんです。『(芥川)龍之介』と引いたらないんです。つまり、我々は(永井荷風、森鴎外、夏目漱石などの)明治の文豪は下の名前で呼ぶんです。ところが、大正・昭和時代からは(芥川龍之介、太宰治、川端康成などを)苗字で呼ぶんです。そんなことがわずかな項目に、知の整理のルールが隠されている。それに気付いた時の楽しさ分かります?」と辞書を何気なく開くことで得られる『知』の深さや面白みを熱弁した。
ネットでは、「林先生が紙の辞書を読む面白さを語ってる。すごいわかる」「確かに調べるついでに周りも読むと勉強になる」「林先生の広辞苑の話を聞いたら、言葉は生き物だと感じる」といった称賛の言葉が多く寄せられている。
また、林は「(優秀な東大生に)小学生に入る前に何やってたか聞いてた時に、全員共通で『とにかく辞書を読むのが楽しかった』」と小説を読むような感覚で辞書を読んでいた子どもは、優秀な大人になる傾向があると話していた。
スマホや電子辞書で得たい情報を簡単かつ的確に収集できる今の時代。しかし、『知』を得ることを少し遠回りしてみたほうが、後々得られるものは大きいのかもしれない。