今回の一件のきっかけとなったのは、日本ハム1点リードの8回裏。逃げ切りを図る日本ハムは、この回に中継ぎエースの宮西尚生を投入。これが12年連続(史上2人目)となるシーズン50試合目の登板となった宮西は、三塁・横尾俊建のエラーも絡み一死一、三塁のピンチを招くも、ここで迎えたマーティンを遊撃へのゴロに。このまま併殺でピンチを脱するかと思われた。
しかし、このゴロを捕球した遊撃・平沼翔太からのトスを、二塁・渡邉諒がまさかの落球。ボールが転がる間に三塁ランナーが生還し、ロッテに同点を許してしまった。
この回の終了後、宮西は感情を抑えられなかったのか、持っていたグラブをベンチ内の送風機に叩き付けそのままベンチ裏へ。一方、エラーを犯した渡邉は、悔しさのあまりうつむきながら涙を流していた。
“被害者”と“加害者”が見せた対照的な姿に、ネット上のファンからは「ベンチが地獄絵図になってる…」、「雰囲気悪すぎて見てられない」、「お通夜みたいな状態だな」、「プレーがお粗末すぎる、そりゃ宮西もキレるわ」、「こっちまで泣きそうになってくる」といった悲痛な声が数多く寄せられている。
一方、中には「なぜ木田コーチは目の前の宮西をスルーしたのか」、「一声かけるなり追いかけるなりしてほしかった」、「選手に寄り添えないような奴は今すぐ辞めてしまえ」といった、木田優夫投手チーフコーチへの批判も。木田コーチはこの時ベンチ裏に続く通路の入り口付近にいたが、横を通った宮西を気にするそぶりは見せず。この“見て見ぬふり”に、疑問を抱いたファンも少なからずいたようだ。
試合の流れを手放したチームは、9回裏に秋吉亮がサヨナラ2ランを浴び敗戦。先月27日西武戦から続く連敗は、今シーズン2度目となる「8」となってしまった。
なお、チームが1シーズンで8連敗以上を2回記録するのは、8連敗、9連敗をそれぞれ喫した1992年以来のこと。今回の一件は単なる黒星だけでなく、実に27年ぶりの屈辱を引き寄せることにもなっている。
文 / 柴田雅人