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血税投入、料金値上げ 東京電力“国有化”最終攻防のドロドロ(2)

 東電関係者が続ける。
 「知恵者揃いの財務官僚が野田総理を洗脳し、裏で焚き付ければどうなるか。もしかすると次の総理に野心を燃やす枝野さんが『こんなはずではなかったのに』と臍をかみ、財務官僚の入れ知恵作戦とも知らずにますます気色ばむ場面だってあり得ます」

 何せ東電といえば新日鉄、トヨタ自動車などと並ぶ財界御三家の一角を担う会社。経団連会長だけでなく、自民党政権時代には副社長クラスが“財界政治部長”として多彩な政界活動を行ってきた“武勇伝”を誇る。その東電が国有化を経て解剖の危機に追い込まれかねないとあっては、同社伝統の“政治の血”が騒がないわけがない。
 「東電が水面下の政界活動に夢中になっていた理由は『いざとなれば永田町や霞ヶ関を動かせる』との信念に他なりません。だからこそ西沢社長は、電気料金値上げを『事業者の権利』と言い放った。枝野経産相が血税注入で強硬姿勢を示したときだって、東電の中には『これで6月中にも総選挙が行われれば、民主党政権は崩壊し、自民党もしくは親自民政権が誕生する。そうなれば3月に新たな事業計画をまとめるにせよ、政府の出資比率を含めて話が振り出しに戻る』と、ガラガラポンを期待する声さえ聞かれた。そこまで読んで経団連の米倉会長が枝野さんに挑戦状を叩きつけたのだとすれば、あの人は経産相よりも役者が上手ですよ」(財界関係者)

 言うまでもなく、東電に対する1兆円超の血税注入は、われら納税者が国庫に納めた“浄財”である。一方、電気料金の値上げは東電の独占エリアである首都圏(1都7県)が対象となるため、この地域の住民は血税とのダブルパンチだ。
 ところが両当事者は、そのことに対する釈明を一切せず、株の保有比率をめぐって「正義は我にあり」と主張するのみ。

 前出の情報筋が苦笑する。
 「政府は東電の経営権を握った後で、グループ会社を次々と売却して解剖に着手、さらには東電本店(東京・内幸町)も解体して周辺の大規模開発を検討しているようです。そうしなければ賠償資金や廃炉費用が捻出できないらしく、不動産業界は『東電特需』に浮き足立っています」

 欲とメンツが渦巻くドラマを見せつけられ、庶民はあきれるばかりだ。

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