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城島『長期離脱』で阪神の投手補強は棚上げ?

 城島の代役を探せ−−。去る11月15日、西宮市内の阪神球団事務所に南信男社長などフロント要人が集まり、“緊急会合”を開いた。その話し合いの結果、他球団との交渉が解禁となる同18日を待って、FA宣言した楽天・藤井彰人捕手(34)を獲得することを決めた(16日時点)。
 「15日は、阪神にとって大忙しだったんじゃないですか」
 大阪圏のメディア陣は苦笑いしていた。
 同日、3度目のFA権を獲得した金本知憲外野手(42)との残留交渉が行われ、3億5000万円プラス出来高で合意に達した(FA権は行使せず)。また今季、FA権を獲得した関本賢太郎内野手(32)の代理人とも残留交渉も行い、そのうえで“補強会議”を開いたのである。長い1日になったことは想像に難くない。

 正捕手・城島健司(34)の左ヒザ半月板損傷が発覚し、「来季開幕戦絶望」が伝えられたのは12日。この時点で、オフの「補強リストの順位」は完全に壊れたという。阪神は投手を中心とした補強を進める予定だったが、「ポスト城島」が優先させなければならなくなった。藤井捕手には申し訳ないが、今までの阪神だったら、今オフのFA市場の目玉・細川亨捕手(30=埼玉西武)を“強奪”するくらいの意気込みを見せたはずである。「チーム総年俸額を徐々に減らしていく」方向性は確かにあったが、阪神はオフの補強で強くなってきたチームでもある。
 「城島が戦線に復帰しても、試合途中で『第2捕手』と交代する2人体制で、シーズンを臨むことになるでしょう。もし、星野SDがいたら、ビッグネームを獲りに行ったはずです。阪神は育成路線に方向転換する方向性だとは聞いていましたが」(球界関係者の1人)
 中・長期ビジョンとして、生え抜き選手を重視する『育成路線』に反対するファンはいないだろう。しかし、今回の楽天・藤井を交渉の一番手に挙げたのには、他球団も驚いている。
 「09年に115試合スタメンマスクをかぶった狩野(恵輔=27)も椎間板ヘルニアの手術を受け、『来季は外野一本で行く』と本人に伝えてあります。小宮山(慎二=24)に期待する声もありますが、経験が浅すぎる…。城島も復帰してからも、しばらくはフル出場できないでしょう」(ライバル球団職員)
 城島の復帰は5月中旬以降とされている。開幕戦からしばらくは藤井で凌ぎ、小宮山にも経験を積ませていく。リスクは大きいが、それでも、育成による新しいチーム像を築き上げようとしているのだろう。
 「野村(克也)時代にまで逆上りますが、フロントは補強に関して、現場の声を聞きすぎたと反省しています。外部補強に頼りすぎないチーム作りをしていくので、真弓(明信=57)監督も多くは望めなかったんでしょう」(選出・同)

 肝心の『投手補強』だが、現時点では前横浜・加藤康介(32)に入団テストを受けさせた以外、目立った動きは見せていない。
 15日時点、阪神の支配下登録選手数は、「66」。入団テストの加藤を合格させ、楽天・藤井の獲得に成功すれば、70人までのマックスまで、「あと2人分」しか残らない。緊急補強用に3人分ぐらいは空けておきたいとの声も、数日前まで聞かれたのだが…。「城島の代役を獲るから投手は補強できなくなった」では、ファンは納得しないだろう。10勝クラスの投手をトレード獲得するとすれば、それなりの出血も覚悟しなければならない。今年の阪神のオフは厳しいものになりそうである。

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