UFOの写真に関する説明では「複数人がUFOを目撃していた」とされているものの、本当にUFOを目撃していた他の人物が写り込んでいる写真は殆どない。もし、目撃していた人が多いのならば、UFOが消えてしまったすぐ後でもいいから、周囲の驚いている人なども同時に撮影しておけば、より資料となるはずだ。
そんなUFOと、目撃者の姿が同時に収まっている写真がこちらだ。
この写真は1954年12月10日、イタリアのシシリー島タオルミナで撮影されたもの。有名な写真であるので、見たことがある人もいるかもしれない。
晴れた海岸にて4人の男性が空を見上げている、その先に白いソロバンの玉に似た形状のUFOが二つ浮かんでいるのである。一人は空を見上げながら駆け寄っているので、もしかするとUFOに驚いてもっと近くで見ようとしているのかもしれない。
この写真は当時UP通信社に在籍していたカメラマンによって撮影されたものだ。同日、シシリー島の上空に直径100フィートという非常に大きな規模のUFOが出現、イタリア空軍が戦闘機を緊急出撃させ、追い払ったとされている。そして、この模様は数千人の住民が目撃していたというのだ。この写真もその一瞬を捉えた物なのだろうか?
だが、直径100フィートのUFOと言うと相当な大きさになる。映画「インデペンデンス・デイ」に登場したような、街を覆うサイズになるはずだ。写真のUFOは非常に小さいため、目撃証言と合致しない。では、巨大UFOを母船とする戦闘機や偵察機のような搭載型の小型UFOだったのだろうか?
写真をよく見ると、映っている人物の影からみて太陽が撮影者の右後方にある事が解る。しかし、UFOは下から太陽の光が当たっているため、このUFOは人工的な光源のもとに作られた偽物とみられている。そして、「空を見上げる人」が映っている本物の写真と合成して、あたかもUFOを見上げる人が存在しているかのように作り上げられた写真だと考えられているのだ。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所