有名な例として挙げられるのが、ウィリアム・シェイクスピアだ。16世紀にイギリスで活躍した劇作家であり、その作品は現代でも多くの人に親しまれている。最も優れた英文学作家とも言われるシェイクスピアだが、その業績にもかかわらず彼本人に対しては分かっていないことが多い。具体的には、その外見だ。
シェイクスピアの姿とされるもので代表的なものは、額が特徴的な肖像画になるだろう。他にも彼の姿を描いた絵画や彫像は多いが、それらはいずれも微妙に違いがある。最も有名な肖像画は2点あるが、こちらはいずれも彼が亡くなった後に作られたため、正しく描いたものではないとされている。そのため、歴史家は昔からどれが最も正確にシェイクスピアの姿を描いたものなのか、特定する研究を行っていた。
ところが先日、最も正確とみられる作品が特定された。それはイングランド中部のウォリックシャーにあるストラトフォード・アポン・エイヴォンに建つホーリー・トリニティ教会にあるもの。この町はシェイクスピアの故郷とされる地であり、彼の墓の上には胸像が存在している。この胸像は死後に作られた不正確なものであると考えられており、「自己満足の豚肉屋」とまで呼ばれていた。しかし、研究の結果晩年のシェイクスピアの姿を再現した、かなり正確な肖像である可能性が高くなったのだ。
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この彫刻を作成した人物は、墓を作った人物でもあるニコラス・ジョンソン。研究の結果、彼はシェイクスピア本人と親交もあり、彼自身から依頼を受けて胸像と墓を作ったものと考えられている。
研究にあたったレナ・コーウェン・オーリン教授は「シェイクスピア本人がこの記念碑の作成を委託した可能性が高くなりました。この胸像は彼を知っていた人によるリアリティが加わっています。彼の墓も含めて文学に生きた人の肖像画であり、後世に証拠を与える死のデザインと考えることができます」と語る。
また、シェイクスピアの研究者であるポール・エドモンドソン博士は「これは本当に重要な発見です。この像はシェイクスピアが私たちの記憶の中でどのように再現されたかったかを示すものと言えるでしょう」と語っている。
(山口敏太郎)
参考記事
Is this what Shakespeare really looked like ?(unexplained-mysteries.comより)
https://www.unexplained-mysteries.com/news/344919/is-this-what-shakespeare-really-looked-like