死海文書は紀元前3世紀から紀元1世紀に書かれたものだ。紀元前68年にローマ軍の侵攻を避けるため、イスラエルの塩湖"死海"沿岸にある11の洞窟に隠された写本群であり、聖書の内容が比較的正確に伝えられてきたことを証明するキリスト教教典としてはもちろん、歴史的にも重要な文献の一つとされている。
しかし、その文面の中には謎めいた文章も多い。"戦いの書"では"光の子"と"闇の子"の戦いが描かれていたり、"感謝の詩篇"では「亡びの矢は一斉に放たれて、あやまたず命中する。それはきらめく炎とともに襲いかかり、そこで水を飲む者らは、みな消え失せる」などと人類滅亡を予言するような記述もある。そのため、死海文書は全ての予言書の種本とされたり、解読に成功すると来るべき人類の未来、黙示録的な内容が浮かび上がるという説や、未だ発見されていない箇所には未来に起きる出来事が書かれている、などと言われている。
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死海文書は今でも研究が重ねられている。近年の研究結果では、今まで単なる余白だと考えられていた箇所にも何らかの文章が書かれていたことが判明している。これは断片の詳細な調査により明らかになったもので、ヘブライ語とアラム語で書かれたテキストの存在が確認された。15、16文字の4行のテキストが残っていた箇所や罫線の痕跡が見られた羊皮紙もあったという。
なお、かつて一大ブームとなり、先日劇場版が公開されたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の中にも死海文書は取り上げられていた。劇場版公開のタイミングで新たな死海文書の発見が明らかになったため、発見を興味深く思う人もいたようだ。
(山口敏太郎)
参考記事
聖書原型の死海文書、60年ぶり断片発見 ユダヤ砂漠で(朝日新聞より)
https://www.asahi.com/articles/ASP3K3J36P3KUHBI009.html
65年ぶりに“聖書の原型”「死海文書」発見される(テレビ朝日より)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000210048.html