海外で家系図作成や遺伝子検査キット販売を手掛ける「MyHeritage(マイヘリテージ)」社は、ディープフェイク技術を用いて「既に亡くなった人の写真をリアルなアニメーションとして動かし、喋らせることができる技術」を導入したと発表した。この機能はイスラエルの企業D-IDが開発したもの。人工知能を使用し、生きている人々の顔の動作やジェスチャーなどを録画した動画をもとにアルゴリズムを組み、写真に自然なアニメーションと言葉を付けることを可能にしているという。
このサービスは「Deep Nostalgia」と名付けられた。メールに写真を添付して送り、規約とプライバシーポリシーに同意すると実際に動かすことができる。既に海外では、試してみた人たちがSNSで報告しており、特に家族を亡くした人たちからは感謝のコメントも寄せられている。
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しかし、苦言も寄せられている。一つはやはり「動きや会話が不気味に感じる」というもの。いわゆる「不気味の谷現象」だ。また、倫理的な問題の発生やデータ漏えいへの不安、そしてこの技術が悪用されないかという問題が危惧されている。
海外ではディープフェイク技術を用いて、有名人が問題発言をしたかのように見せかける動画が作成された例もある。今のところすぐにフェイクだと明らかになったものが多いが、今後については注視していく必要があるという。
海外ではディープフェイク技術に関する危機意識も高まっており、イギリス政府は虚偽の情報を宣伝するために使用される可能性のあるディープフェイクからインターネットユーザー(特に低年齢層)を保護することを目的とした新しい法律案が提出され、2022年には施行される可能性があるとのこと。
一方で、この技術を応用して写真が残っている偉人に会話をさせれば、教材として役立つのではないかという見方もある。MyHeritage社はヴィクトリア女王やナイチンゲール、リンカーン大統領で同様の動画を作成しており、一部がYouTubeで公開されている。興味のある人は見てほしい。
参考動画
Abraham Lincoln Discovers His Family History on MyHeritage
https://www.youtube.com/watch?v=kEtiajHLmQY
参考記事
MyHeritage offers 'creepy' deepfake tool to reanimate dead
https://www.bbc.com/news/technology-56210053