しかし、昔はそのようなツールもなかったため、決定的瞬間を捉えるのは難しいことだった。技術が進歩していき、カメラを誰もが持てるようになり、また自分が撮影した写真がすぐに出てくるポラロイド写真技術ができたことは、情報発信を早めるのに一役買った面もあるだろう。
そんなポラロイド写真が捉えた一枚のUFO写真がある。
1966年、オーストラリアの首都メルボルン、バルワインにて撮影されたものだ。撮影日時は4月2日午前11時ごろ、晴天の下に金属質の謎の物体が浮いているのがわかる。
これを撮影した人物は、当時の報道では匿名とされたが、彼は地元で有名な実業家であったため名前が伏せられたのだという。それでも、一般市民が知り得なかっただけで、彼のもとには多くの報道陣が訪れる結果となったようだ。
彼はこの日、自宅の庭にてこの物体を目撃。物体は直径7〜8メートルあり、500メートルほど上空を飛行していたという。初めは水平状態で飛行してきたが、一度90度傾いて写真の形になったという。そして再び90度回転し、底部を目撃者に向けて北の方角へ飛び去ったという。また、この時ジェット機が音の壁を破った時のような、大きな破裂音を聞いたという。
ポラロイドカメラが写したUFOであったため、長らくこの写真は本物であると考えられてきた。
しかし後年、コンピューターを用いた解析の結果、写真に奇妙なつなぎ目が存在することが判明。写真の中央に存在したということなので、2枚の写真を用意して合成したものとみられている。空に偽物のUFOを配置した写真と、実際の風景を写した写真を上下に並べ、雲を利用してつなぎ目を自然に隠しつつポラロイド写真で撮影したのだ。つまり、写真をさらに撮影したトリック写真だったのである。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所