「ナイフ」はお互いに気になっている二人が学校の文化祭で顔にペイントされるというショートムービー。約4年前、まだ乃木坂46がファーストシングル発売の頃であった。当時を振り返った柳沢監督は、「小悪魔的な感じ」と伊藤の印象を語る。ただ、伊藤は、「いや、いや…」と自身の“小悪魔的”な要素の認識はまだないようだ。そんな伊藤は、「『ナイフ』は奇跡的なものだったと思うんです。私もはじめて、監督も(個人PVのようなものを)撮るのがはじめて。今でも4年も前の作品なのに、“『ナイフ』を見て好きになった”と言ってもらえることがあって」と作品が自身にとっても貴重なものであると語った。また、「作品を作るのも、映像(表現)も好きで、美術も好きで。私が一番、ヤナショー(柳沢監督)の考えていることを理解できる自信があるんです」と自身の今後の柳沢監督作品への起用をPRした。
父がグラフィックデザイナー、母が元ファッションデザイナー。まさにクリエイターの両親を持つ伊藤。映像制作への興味も人一倍強い。「ただ、撮られるだけじゃなくて、スタッフさんと一緒に話し合って、理解しあった方がよいことは、これまでの(乃木坂46での)4年間の活動で見えてわかったと思います」とも。
柳沢監督は、乃木坂46の「ガールズルール」などのMVも担当。グループメンバーとしての伊藤の印象について、「メンバーの“個”が強い乃木坂メンバーの中で、伊藤さんはその“個”を前面に出している印象はないのですが、興味あるクリエイティブの方向にやりたいことがやれているじゃないですか。関係者から愛されるということが才能だと思います」と語る。伊藤は、「特に去年からです。デザイン誌での連載がスタートしたり。今までは閉じているところもあり、指示に従わなければいけないというスタンスでしたが、なるべく人と関わっていこうと思うようになりました」と意識の変化を語った。「4年前に『ナイフ』の撮影でおどおどしていた人とは思えない、すごい。自己プロデュースしているってことだものね」と柳沢監督は伊藤の成長を感じたようだ。
乃木坂46に加入してから特に映像作品の見方について、「物語ももちろん追っていくのですが、この作品ってどうやって撮っているのだろう? どうやって編集しているのかな? どんな理由でワンショットにしたのかな? という見方も持つようになりました」と話す。映画「星ガ丘ワンダーランド」では家族が描かれているが、20歳になった伊藤は、「19歳の時にお母さんからは、友達みたいに接して欲しいと言われて(笑)。それで気が楽になったりしました(笑)。自分のやっていきたいことを一番理解してくれるのは、お父さんとお母さんだし。周りから“変わっているね”と言われることも、家族は、“いいんじゃない”と言ってくれます」と自身の家族を話してくれた。