11・8両国国技館大会のIWGPヘビー級チャンピオンシップ。王座奪還に燃える棚橋には、現王者の中邑から是が非でもベルトを取り返さなければならない強い決意がにじんでいた。
「チャンピオンとして築きたい世界があったのに、不本意な形でベルトを手放さざるを得なかった。その先を始めるためにも、両国では勝って『愛してマース』と言いたい」。G1準決勝で中邑の蹴りを食らって右目を負傷し、無念のベルト返上を余儀なくされた棚橋にとっては、当然の思いだった。
もっとも棚橋からしてみれば、「まだ俺は中邑をチャンピオンとして認めてない」と王者を暫定とまで言う。あくまでアクシデントによるベルト返上だったことから、チャンピオンを新日最強のレスラーだとはハナから思っていないというわけだ。
中邑を認めていない理由はそれだけではない。「俺の価値判断はお客さんが盛り上がっているかいないか。いまのところ地方会場では俺がチャンピオンのときの方が盛り上がっていた。いまのでは物足りない。彼がチャンピオンになって神戸の発言(アントニオ猪木へのケンカ状)とかありましたけど、ベルトを輝かせる人間は自分自身も輝いていなくちゃいけない」。
猪木との対決を掲げて独自のカラーを打ち出した中邑をまるで評価していない。「俺が輝きすぎるから、彼は焦っているんでしょう」とあざ笑う。いまの中邑にベルトの価値を上げることも、団体をけん引するのも無理だといわんばかりだ。
一方の中邑は多くを語らず。棚橋の発言にも「言っていることがよくわからない」とまともにとりあわなかった。
今後の新日マットの行く末を占う一戦まであと10日。両雄に待ち受けているのはどんな結末なのか、目が離せなくなってきた。