甘栗太郎はいわずと知れた有名甘栗ブランド。昭和通り口から徒歩1分という一等地にでかでかと看板を掲げたビルを持っている。1階店頭で即売しており、栗を炒った香ばしい匂いが漂う。
秋葉原本店の高橋良之店長(47)は「いまは新栗の時期なんですよ。10月初旬から販売しているんですけども、最初は甘みがでない。約1カ月ほど冷蔵庫で低温熟成してちょうど甘みがでてきたところでございます」と鉄釜で栗を焼きながらにこやかに説明する。
大正3年の創業。同7年に東京・池之端で開かれた世界万博で実演販売し、好評を博して知名度を上げた。柴源一郎・先代社長(故人)が昭和45年、本社を四谷から秋葉原に移転。今年10月15日に四谷本社に戻すまで40年近く、秋葉原本社兼店舗が引っ張ってきた。最近ではコンビニなどで同社の「むき栗」が販売されるようになった。
国産は渋皮がむきにくいため、甘栗には中国産を使う。同社ではトップブランドの青龍県産を使用。砂利を入れた釜に水あめを入れ、栗の汚れを取りながら艶を出していく。パッケージは大きな栗から生まれた栗頭の坊やが目印。アキバ散策にもってこいのおやつで、多い日は100〜130人が買っていくという。
「ヘビーユーザーがいるんです。栗は厄介なことに常温保存できない。発芽しちゃったら養分を取られて苦味が出てしまう。湿度と温度管理が大切なんです。栗を知っている人は一度に大量に買わず、毎日少しずつ買っていきます」と高橋さん。
秋葉原本店は来年初めに全面改装し、1階店舗の間口を大きくする予定という。10年前とはガラリと変わった秋葉原。高橋さんは「メイドカフェどこですか?と1日に何回も聞かれるので、ちゃんと答えられるようになっちゃいましたよ」と笑った。
(写真=店頭で甘栗をさばく高橋良之店長)