頭にはバンダナ、耳にピアス、服はラッパーの様相。私はさっそくバンダナとピアスを取るように指示し、IGFの経費でシックなスーツを着るように言った。
彼はこちらの意見をかなり悟ったようで、素直な気持ちで本当にプロレスに、チャレンジしてみたいという魂が伝わってきた。
来週からでもやりたいと言っていた練習が楽しみだ。
翌日、猪木会長に報告した。それでもご立腹の様子。なんでも若麒麟がバンドをやっているというのだ。まあ後でわかったのだが、彼の友達がそのグループをやっていて、若麒麟は巻き込まれたって話で一件落着となった。
間違いなく彼は良い素材の持ち主だ。環境をストロングスタイルに変えるだけで人間性もガラリと変わる。
いずれにせよ若麒麟は、ウチが受け持つ以上、立派なストロングスタイルライフを送るだろう。逆境を跳ね返し、彼が見本を示せれば、日本中の若者にも好影響を与える。弱体化した平和・色・拝金ボケ日本社会を変えるのだ。
興義館の練習は厳しいが、これに耐えることができればエリートである。
とりあえずセメントのみを教える。礼儀をはじめ、打撃からレスリング、寝技に至るまですべてをこなさせる。もし彼が生まれ変わったら、心から拍手をしてやってほしい。
そもそも今回の話は会長から、若ノ鵬というロシアの選手と聞かされていたのが、実は若麒麟だったってという話。
前に会長からピロロが来ると言われ宣伝したが、本当はキロロだった、なんてこともあったなあ〜。