菊花賞を目指すサンツェッペリンが、いよいよここから始動する。
ただ一頭の3歳馬だが、「相手に不足はない。力を計るにはちょうどいい」と高橋調教厩務員は盛んに腕を撫す。一方、「負けても古馬相手だから、いい訳できる」と笑わせた。
ここがダービー4着以来、4カ月ぶりの実戦。気になる仕上がり状態について、高橋さんは「検疫の再開が遅れ、帰厩したのは5日。急仕上げ気味なのは否めない」とトーンダウン。しかし、1週前追い切りをやって「ガラッと良くなった」と変わり身を強調した。一流馬は競馬が近づくと、自分で体をつくるといわれるが、サンツェッペリンも例外ではない。九分通り出走態勢は整うと見て間違いないだろう。
春は京成杯を逃げ切り勝ち(初重賞制覇)。皐月賞はハナ差2着と長蛇を逸したが、スピードと実力はまぎれもなくGI級。悔やまれるのは決して万全の状態ではなかったことだ。
「背中と肩が痛かった。だから、ダービーは激しくイレ込んでいた。あんなにイレ込んだのは初めてだった」と振り返る高橋さん。牝馬のウオッカの前に、4着と後塵を拝したが、満身創痍(まんしんそうい)に近い状態だっただけに、実力の片鱗は示したといえる。
この夏は秋に備えて休養。たっぷり鋭気を養った。その成果は一目瞭然。「疲れが取れ、心身ともにリフレッシュした。精神的にリラックスして、落ち着きが出てきた」と笑顔で話す高橋さん。放牧効果は大きかったようだ。
馬インフルエンザ騒動が少なからず影を落としているが、それを跳ね返すだけの実力が備わっていることは確か。まして、斤量は54kgだ。条件的に見て、ベストパフォーマンスを披露するシーンは十分だ。
【最終追いVTR】松岡騎手を背にWコースで併せ馬を行い、5F65秒3、上がり3F36秒7→12秒9を一杯にマーク。相手を5Fから5馬身追走し、3Fでは3馬身差。4角で外から“合体”したが、久々のせいか、反応が鈍くパートナーの抵抗にあう。それでも、最後はグイッとひと伸びし、1馬身先着。このひと追いで変わり身が見込めそうなムードだ。