2歳の入厩初期と、調教が進み、追い切りからレース出走まで、また歴戦の古馬とではカイバの量や中身が違います。
2歳の入厩したばかりの馬はまだ調教が軽いので、主に環境に慣らすのと人馬のコミュニケーションを取ることを目的にカイバをつけます。1日のえん麦の量は3〜4升で、切り草を多く混ぜます。切り草を多くするのは腹めを出し、腸容積を整えるためです。腸の容積がきちっとしている馬は、古馬になってもカイバがあがることはありません。
フスマは1回のカイバに1升。塩は20〜25gを基準として与えます。注意したいのは、まだ運動量が少ないこの時期に高タンパク質を与えすぎないこと。心臓に脂が乗り、仕上がりが遅れます。
調教がある程度、進んできて、速い追い切りをかけられるようになると、レースももう間近。日々の運動量に比例して、カイバの量もグンと増えます。1日に6〜8升のえん麦を与え、大型馬には10升もつけることがあります。そのほかにカルシウム剤、青草や乾し草を与えます。
食いがいい、悪い、また太めが絞れないなど、状況によって加減することはありますが、カイバ量は古馬になっても基本的には変わりません。レース経験馬がいい追い切りタイムが出たり、体調が良くなってきた時には気力を上げるため、にんにくみそ、はちみつ、マムシの粉、栄養剤などを与え、レースに勝てる状態をつくります。いわゆる勝負カイバというもので、厩務員さんの腕の見せどころです。なかには前記以外の秘密のものを与えている厩舎もあるようですが…。