この日、太田と博士について、番組を通じて距離が縮まったという話題が上がると、たけしは「犬猿の仲が仲良くなったくらい強いものはない。だいたい最初はケンカしてるんだよ、それが仲良くなると最強なんだよ、コンビは」と持論を展開。すると博士が「今度、俺が抜けて松本人志を置いてください」と、太田との不仲が噂される松本との共演を提案した。これにたけしが「松本人志、嫌いなの?」と反応すると、太田は「大っ嫌いですよ!」と即答し、現場は大盛り上がり。そしてたけしが「松本も呼んで、これからのお笑いについて聞かせてよ」と松本の話題を続けようとしたものの、太田は「本当に勘弁してください」と苦笑いで遮ったのである。
そもそも松本と太田の確執は、20年以上前にまで遡る。当時、爆笑問題は情報雑誌にコラムを連載していたのだが、そこで“芸人が流行りの服を着ているのはダサい”と、雑誌にトレーニングウェア姿で登場していた松本を批判。さらに「アディダスの広告塔みたいなもの。あの無神経さは信じられない」と毒づいた。
当時の一部週刊誌によると、このコラムを目にした松本は大激怒し「すぐに2人を呼べ」とスタッフに命令。そして爆笑問題の2人は、彼の仕事場に駆けつけたという。そして震え上がる2人に松本は「俺のことには触れんときいな」と声を荒げ、「お前らに問題を出す。いますぐ答えてみい。1、いますぐ芸能界を去る。2、ここにあるパイプ椅子で殴られる。3、この場で土下座せい」と謝罪を迫ったとのこと。すると彼らは額を地べたに擦り付けたという。
事件の真偽は不明ではあるが、この記事内容の衝撃度からか、松本と太田の不仲説は瞬く間に世間へ広まった。そして芸能界においても、2人は共演NGが当たり前という状況になっていったのである。
しかし2014年、彼らは『笑っていいとも!グランドフィナーレ』(フジテレビ系)にて再び顔を合わせる。タモリ、明石家さんま、ダウンタウン、とんねるず、ウッチャンナンチャンなど、多くのレジェンド芸人が顔を揃えるなか、爆笑問題がステージになだれ込んだ。そして松本が「ネットが荒れるから」と叫ぶと、太田は「荒れろ! 荒れろ!」と煽る。さらに太田は「このメンバーで仲良くできるわけねぇじゃねーか。タモリさんのおかげでこうして仲の悪い人たちと会うことができた」と語り、これが夢の共演であることを視聴者にも実感させたのだった。
この2人の共演は、さんまも心配しており、当時の状況について「爆笑問題が出てきた時に“おい! ダウンタウンと大丈夫か?”とか思って。口にテープ貼られながら、何か言うたら出ていったらなあかんと、ずーっと構えてたんですよ」と、のちにラジオで語っている。
また千原ジュニアも「松本さんと太田さんは『それ以来』」と過去に“何か”があったことをほのめかしつつ、CM中に松本が太田に「ありがとな」と声をかけていたことも明かした。
それから3年の月日が経ち、今回の太田による「大っ嫌い」発言が飛び出したわけだが、翌日の放送では「昔の話ですよ。私が若造だった頃に、私が全部悪いんですよ。それを怒られたっていうのがあって」と、例の事件を認めたかのような発言をし、「松本さんは、僕は大好きですから」と前日の言葉を訂正。一方、松本はバラエティ番組にて、この話題が取り上げられると「盛り上がって話題になって、笑いが起こったのなら、全然僕はいいと思いますよ」と太田の発言を容認している。
本人や他の芸人の証言から、やはり過去には確執があったように思われる松本と太田。しかし現在は雪解けの状況にあるようで、いつの日かまた2人の共演を見てみたいと願うファンは多いに違いない。
【参考】
・ホットドッグ・プレス(講談社)1994年7月25日号
・ヤングタウン土曜日(MBSラジオ)2014年4月5日
・千原ジュニアのアッパレやってます!(MBSラジオ)2014年4月1日
・女性セブン(小学館)1995年2月2日
・ワイドナショー(フジテレビ系)2017年10月8日
・笑っていいとも!グランドフィナーレ(フジテレビ系)2014年3月31日