search
とじる
トップ > トレンド > 龍馬ブームの今こそ、関西弁の坂本龍馬をもう一度見たい!

龍馬ブームの今こそ、関西弁の坂本龍馬をもう一度見たい!

 11月28日の放送で最終回を迎えたNHK大河ドラマ『龍馬伝』。

 坂本龍馬といえば、もともと日本の歴史上でも特に人気の高い人物の一人でありますが、龍馬伝の大ヒットもあって、今年は何度目かの坂本龍馬ブームが起きた1年だったとも言えるでしょう。
 坂本龍馬ブームの今年は、龍馬にちなんだイベントやグッズ、番組などが多く登場してファンをおおいに楽しませてくれましたが、私が個人的に今年の龍馬ブームで一番嬉しかったことは、ひょっとすると『龍馬におまかせ!』が時代劇専門チャンネルで放送されたことかも知れません。

 『龍馬におまかせ!』は、1996年に日本テレビ系列で放映されていた連続ドラマです。
 脚本は後にNHK大河ドラマ『新選組!』も執筆することになる三谷幸喜。坂本龍馬を演じたのはダウンタウンの浜田雅功でした。
 三谷幸喜と浜田雅功という豪華タッグ結成に大きな注目も集まったのですが、視聴率は奮わず、脚本を執筆した作品のほとんどがソフト化されている三谷幸喜ドラマの中にあって、数少ない例外と言える未ソフト化のドラマとなっています。そのようなこともあってか三谷ファン、浜田ファン双方からも時折「黒歴史」のように語られてしまうこともある本作品。

 浜田雅功演じる坂本龍馬は関西弁で、一般的にイメージされる龍馬とは違って、常におちゃらけ続けていて、毎日だらだらと自堕落な日々を送っています。もちろん、日本の未来のことを考えるようなこともほとんどありません。そんな本作の龍馬を見て、一部の坂本龍馬ファンからは抗議の声も起こったのだそうです。

 しかし、本作はそんなに酷い作品なのでしょうか?
 実は私はリアルタイムでこのドラマを見ていた(当時・中2でした)のですが、このドラマはとても面白かったし(三谷幸喜とダウンタウンというお笑い界の二つの天才がタッグを組んで作っただけあってかなり笑えます)、そして、このドラマには非常に勇気付けられもしました。
 それは本作が、坂本龍馬がまだ歴史の表舞台に出るよりも前のことを描いた話であり、坂本龍馬のような歴史に名を残すような人物にだって、世の中に何の影響を与えることも出来なくて、何も出来ないままだらだらと日々を過ごしていたような時期もあったのだと、このドラマを見て思うことで、やたらと大きな夢は抱いているけど結果的に何も出来ていないボンクラ少年は勇気をもらっていたからなのだと思います。
 それに『龍馬におまかせ!』の龍馬は、確かに毎日だらだらと遊んでばかりはいますが、仲間思いであり、また自分と敵対する人物であろうと血が流れるような事態になるのは望まないという、人として大事な部分はしっかり持っていました。
 決して、本作は坂本龍馬という人物を侮辱するような内容ではなく、歴史に名を残すような人物にだって、どうしようもない時期もあったんだから、みんなも諦めるなよ! …と、今、駄目な生き方をしている視聴者にエールを送ってくれる素晴らしい作品だったのだと思います。

 ところで、『龍馬伝』を見ていたら、次々と斬新な発想を考え出して行動していくことで、改革を望まない者達から敵視されてしまうことを心配する仲間に、坂本龍馬はこのようなことを言っていました。
 「命を狙われるくらいのことをせんと、日本は変わらんぜよ」
 坂本龍馬のような過去の常識を次々とぶち壊していった男を描くのなら、命までは狙われなくとも、たくさんの批判も受けるくらいの革新的な作品を創る方が、坂本龍馬の本質を受け継いだと言えるのではないでしょうか?

 私は、龍馬ブームが続いている今のうちに『龍馬におまかせ!』の初ソフト化に期待したいです。
 このドラマを見れば、ニートや引きこもりだって志を捨てなければ、いつかは龍馬のように生きられる…そんなふうに思うことも出来るかもしれません。

(「作家・歩く雑誌「幕末の人物では桂小五郎が一番好き」中沢健 山口敏太郎事務所)

参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou

関連記事


トレンド→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

トレンド→

もっと見る→

注目タグ