21日、早朝。船橋競馬場(左回り・稍重)の本馬場に姿を現したルースリンドは、500kg強の馬体を揺らし、悠然と歩みを進めた。
調教パートナーの佐藤太騎手を背に、単走で5F64秒4→50秒2→37秒3→12秒0を計時。直線で気合づけのステッキが3発入ると鋭く反応し、ゴール板を真一文字に駆け抜けた。すでに1週前の14日にもメーンエベンター(牡7歳、船橋・川島正厩舎)と併せ、5F63秒2→49秒3→36秒8(強め・併入)をマーク。2カ月ほどローテーションはあいたものの、ここを目標に万全の態勢が整っている。
前走の大井記念は痛恨の出遅れ。後方からの競馬を強いられ、2着まで追い上げるのがやっとだった。自信を持って臨んだ陣営にとっては非常に悔しい結果となった。
「前走時のいい状態をキープできているし、ここまで予定通りにきているからね。中団より前で競馬できれば」矢野義師の言葉にも今度こそという強い思いがにじむ。
近走は長めの距離を使われてきたものの、過去の実績を見ても本質はマイラーだ。「川崎のマイルで勝っているからね」と師も7戦全勝と抜群の成績を誇るこの距離に絶対の自信を見せる。
休養明け初戦時にはまだ蟻洞の跡が残っていた蹄もほぼ完全に伸びた。そして、もうすぐ…8月8日は同馬の主戦を務めていた佐藤隆騎手の命日にあたる。「大きいところが獲れる馬」かつてのパートナーの熱い思いと厩舎初の重賞制覇へ夢を膨らませる陣営の期待感。いまこそ飛翔のときがきた。