「タラレバをいっても仕方ないけど、朝日杯での2角での不利は本当に痛かった。スムーズに競馬をしていれば違った結果になっていた」。岡田調教師は消化不良に終わったシェーンヴァルトの前走を振り返り、悔しさをにじませた。
スタートはスムーズに出たものの、2角でセイウンワンダー(1着)が強引に前へと割り込んできた。これによって後方へと下げるロス。完全にリズムを崩した。
「スムーズなら勝ち馬の位置で競馬ができていたはず。そうすればセイウンじゃなく、ウチの馬が勝っていたんじゃないかな」
決して強がりではない。イチかバチかのイン強襲を決めたセイウンの上がり3Fが経済コースを通って35秒0。一方、シェーンはもまれ込んで35秒4だった。道中でシフトダウンを余儀なくされたことを考慮すれば、まともなら争覇圏内に加わっていてもおかしくはなかった。
前走のリベンジに向けて、この中間はみっちりと乗り込まれてきた。1週前には、栗東坂路で800メートル54秒7をマーク。短期放牧を挟んでの出走となるが、仕上がり面に抜かりはない。
さらに、陣営は今回、デビューから手綱を取り続けた北村友騎手から、昨年の関東リーディング・内田騎手へとバトンを託した。元来が追わせて味のあるシェーン。豪腕で鳴る新たな鞍上とのコンビ結成で、さらなる力が引き出される可能性は十分にある。
「前走から短い期間だったけど、ジャングルポケット産駒の荒々しさが取れて今は落ち着きがある。初めての左回りもまったく問題ないし、何とかリベンジを果たしたい」
父は01年のここを2馬身差で完勝し、後のダービー制覇へと弾みをつけた。その血を受け継ぐシェーンが、府中の杜で自慢の末脚を爆発させるか。