学生時代は、モテたくてしようがなかった。ところが、結果がまったく伴わないため、女性に注ぐエネルギーを、すべてお笑いに変えた。そこからだ、運命の歯車が回りだしたのは。
大学に進学すると、“目黒5人集”というユニットを結成。素人ながらもイベントに呼ばれては、高い集客率を誇った。それでも卒業後は、父と同じ普通の社会人になろうと決めていたが、『ぎんざNOW!』(TBS系/72〜79年)に出演すると、素人参加のコーナーでいきなりチャンピオンに。それを観ていた事務所社長からスカウトされて、芸人の道を歩むこととなった。
デビュー時の芸名は、ラビット関根。その年が偶然ウサギ年だったということが、理由。だが、命名したのが桂三枝(当時/現在は桂文枝=6代目)いうのは、関根の引きの強さといえる。
ターニングポイントとなったのは、『カックラキン大放送!!』(日本テレビ系)。番組内のコントで見せた「カマキリ拳法」が、男性ファンの心をつかんだ。そして、同じ事務所だった小堺一機との“コサキン”で活動するようになると、一躍ブレイク。冠番組を抱えられるまでになった。
関根を支えているもうひとつの柱が、カンコンキンシアター。89年、関=カン、根=コン、勤=キンという由来で発足。以降、どんなに多忙になろうとも、座長として必ず年に1度は舞台に上がる。そんな後ろ姿を、尊敬のまなざしで見ている座員。そのひたむきな姿、高いクオリティに、明石家さんまをはじめ大物芸能人のファンも多い。チケットが全公演即日完売となるのは、好実績からくるものだろう。
今秋には、初監督映画『騒音 THE FIVE OYAJI』が公開。舞台からスクリーンに戦場を移して闘う、還暦の関根。探究心は青天井だ。(伊藤由華)