2001年「援助交際撲滅運動」、05年「援助交際撲滅運動・地獄変」と、4年に1度オリンピックのように公開されては、過激な内容と奇抜なストーリーからカルトな人気を博してきたシリーズの第3弾。
第1弾の遠野小春、第2弾の蒼井そらと、これまで人気AVアイドルが主演を務めてきた。彼女も今回、初めて映画に出演したことは大きな財産になったという。
「3人目のヒロインになるとは思ってもいませんでした。主演が私で大丈夫なのかなって思ったほど。でも、一つひとつ監督さんから教わって自信がつきました。それに大勢のスタッフが力を合わせて、ひとつのものを作り上げる。そのエネルギーの後押しをすごく受けましたね」
AVと違い、映画には大勢のスタッフが関わっている。作品を完成させようというスタッフの熱意が一つの流れとなって、初めて映画撮影に臨む彼女の気分を上手に乗せることができたのだろう。
「私、特にお昼ご飯が楽しみでした。お弁当だと思ってたんですが、炊き出しがあって。みんな並んでできたてホヤホヤの料理を、よそってもらって食べる。温かさが伝わってきてテンション上がりました。私もコックさんを見つけては“今日のお昼は何?”とか話しかけてましたよ」
彼女の演じるあずさは妹めぐみの自殺の謎を追うライター。“援助交際撲滅運動”と称して女子高生をレイプしては、身体の一部に「メスブタ」という焼印を押すという“エンボクのクニ”(遠藤憲一)の行方を追いかけている。
「キツかったのは冒頭のシーン、亡くなった妹と対面するところですね。あと、いなくなった妹への愛情表現を見せるシーンも難しかったです。死んでいる妹から手紙が届くシーンとか、思わずグッときました。あずさは、とても妹のことを思い過ぎているんです。その感情は今でも私の心の中に残ってます」
タバコを吸うシーンも大変だったという。彼女自身が吸わないからだ。
「煙たいのはもちろん、不自然に見えないよう考えて演技しなきゃいけないし、二重に大変でした。スタッフを見て吸ってるイメージの参考にしたり。でも、撮影が終わっても喫煙の習慣はつきませんでしたよ(笑)」
一方、気に入っているというか、気になっているシーンもある。クニがマネキンに向かって延々と話しかける場面だ。
「最初は遠藤さんがマネキンに何を話しかけているのか分からなくて、すごく不思議でした。でもセリフを聞いているうち、だんだんクニがマネキンを好きだってことが分かってきて、思わず見入っちゃいました。このシーン、実は全部アドリブ。ずーっとカメラが回ってて、遠藤さん自身いつカットって言われるのか不安なまま演じ続けていたそうです(笑)」
あずさとクニは“殺すか殺されるか”というレベルの壮絶な戦いを繰り広げる。
「太モモに鉄パイプをグサッと突き刺し、さらにグリグリするシーンはオススメです。もちろん太モモは特殊造形の作り物ですが、見た目にも芸術的で、壊すのがもったいなかったほど」
初日の7日と楽日の13日は、舞台あいさつとトークショーを開催する。
「作品を見て持たれるイメージは、人それぞれかと思います。面白いなぁとか、いろんな世界があるんだとか、こういう役もやるんだとか。どんなささいなことでもいいですから、いろんな感想を聞きたいですね」
今やAV女優としてだけでなく、テレビのバラエティー番組などにも出演して積極的に活動の幅を広げている。これも世間への認知度を高めるため、去年1年間かけて温めてきた成果という。
「今年はひとつのきっかけから、たくさんチャンスが生まれるような年にしたいです。この映画も不安はありますけど、皆さんに見て欲しいという気持ちのほうが強いんです。それが私の活力。この先も頑張れます。ぜひ見に来てくださいね」
<プロフィール>
りお 1986年10月29日生まれ。東京都出身。T154、B84W58H83。A型。旧名は柚木ティナ(ゆずき・てぃな)。父が日本人で母がポルトガル人のハーフ。去年はスカイパーフェクTV!の「スカパー!アダルト放送大賞」女優賞を受賞。今年は「AVグランプリ2009」で最優秀賞や女優作品賞など計5部門を制覇。名実ともにAV女優の頂点に立った。