『ほんやら洞』は'72年に開店した喫茶店兼ギャラリー。開店にはフォーク歌手の岡林信康も関わり、当時は学生の溜まり場として、その後も市民や学生が政治や文化を自由に語るサロン的な役割を果たしていた。また最近では、環境問題や反原発運動の拠点としても知られている。
火災の原因については消防と警察が調べており、火の不始末という見方がもっぱら。しかし周辺からは、「不審火の可能性も捨てきれない」との声も聞こえてくるのだ。
「一部の市民からは『“反体制運動”の色を残している』という見方もつきまとっていた。最近は京都大学の公安警察立ち入りや、同大熊野寮の家宅捜索などがありましたからね。その影響で今回の火事に関して“体制側の攻撃では”などという話が流れているんです」(地元記者)
もっとも、警察関係者は「そんな馬鹿なことあるわけない。第一、あそこはマークすべき重要拠点じゃないでしょう」と一笑に付す。しかし、それでも“不審火”の噂が絶えない理由には、最近台頭する保守系市民団体の存在がある。
「ヘイトスピーチの連中も含め、愛国保守を標榜する連中が増えているのは事実です。しかし、彼らはデモ行進かビラ撒きがせいぜい。直接行動に出る可能性は少ないですよ。ただし、一部に跳ね返りというか目立ちたがる者もいる。そんな連中の反左翼的な言動が噂を呼んでいるのでは」(ある京都市職員)
『ほんやら洞』の常連は、「一刻も早く火災の原因を究明してもらいたい。いちばん心配なのは変な噂に影響された模倣犯が出ること」と語っている。
いずれにせよ、市民の憩いの場の復活に期待したい。