いみじくもこう語ったのは第266代ローマ法王フランシスコだった。
11月13日に発生した死者130人を数えるフランス史上最悪のテロ事件に対し『イスラム国』(IS)の暴挙を厳しく非難したものだ。
「ロシア民間航空機の爆弾テロに続き、今度はフランス国内で多くの市民が犠牲になりました。今回のフランス・パリ同時多発テロの首謀者には、欧州国籍を持つISシンパらが大勢含まれていた。宗教や移民政策など、まさに欧州の黒歴史が浮き彫りになった瞬間でもある。ISは今後もテロ攻撃の継続を声高に叫び、イギリスやアメリカ、ロシア、カナダ、中国、そして、日本も標的になっていることを宣言している。まさにフランシスコ法王が語ったとされる“第三次世界大戦”の始まりです。多くの先進国が高みの見物というわけにはいかない。血を流すことを、同盟国からも要求されることになるからだ」(フランス特派員)
第三次世界大戦を彷彿とさせたのがフランス・オランド大統領の反撃だ。
演説で今回のパリ同時多発テロを戦争行為と断じ、非常事態宣言をした。
報復として、シリアにあるISの拠点を縦断爆撃し、フランスが誇る原子力空母『シャルル・ド・ゴール』(全長261.5メートル、全幅64.36メートル。乗員約1950人。艦載機は固定翼機35機、ヘリコプター5機)をシリア沖に出撃させたのだ。
そればかりか、まもなく米英露と共にISに対する本格的な地上戦が展開されるという。
「作戦名は『自由の門』。12月内に発動されるでしょう。まず、無人攻撃機でISの本部を、次に有人戦闘機がこれまでにない規模でIS領土を空爆する。平行してすでに潜伏している米軍の『デルタフォース』と『SEALs(シールズ)』、ロシアの『GRUスペツナズ』らがIS幹部の排除(殺害)を目指す。トルコ領から米英仏の地上軍の侵攻が始まる。年内中にはISを殲滅させる計画です」(国際ジャーナリスト)
だが、今回の戦略作戦だけでは、到底ISを完全崩壊させることには至らないという。改めて説明するまでもないが、ISにとっては今回のパリ同時多発テロは『聖戦(ジハード)』を勝利するための一里塚に過ぎないからだ。
「フランスでテロが実行された11月13日はISにとって非常に重要な意味を持つんです。1918年11月13日は英仏軍がオスマン帝国の首都コンスタンチノープルを制圧した日。いわばイスラム教徒がキリスト教徒に侵略された恥辱的な日でもあるわけです。だから物量でいくら有利な米英仏の共同軍が地上戦でISの首都を制圧しても、地下に潜られるだけなんです。現に10月11日、イラク西部アンバル県のシリアとの国境近くで空爆を受けたとされるISの指導者、バグダディ容疑者の生死もいまだ確認されていない。仮に爆死していたとしても、預言者ムハンマドの後継者『カリフ』二世を名乗る者が必ず出てくる。キリがありません」(永田町関係者)
当然だが、米英仏によるシリア領内で地上戦が展開された場合、我が国の自衛隊も派兵されることになる。
来年3月にも予定されている新・安保法制施行に伴い、自衛隊の海外軍事行動が可能になったからだ。すなわち、これは何を意味しているのか。
「日本も、協力国から当事者国に格上げになったことを意味している。これまで以上に日本国及び日本人がISによるテロの危機にさらされる可能性が高くなるんです。テロを起こす確率は90%以上と言っても過言ではない」(前出・国際ジャーナリスト)