ミスターストイックが復活Vだ。
1回戦で2007年の日本トーナメントで敗れているアンディ・オロゴンに判定勝ちでリベンジし、準決勝では前年度覇者の城戸康裕を2ラウンドKOで破った。山本優弥との決勝では1Rにダウンを奪い、判定で競り勝った。
07年6月以来、白星から遠ざかっていただけに、3連勝で復活を印象づけたが、手放しで喜べる内容ではなかった。判定勝ちしたアンディ戦では、相手の圧力に屈して何度もクリンチで試合の流れを断ち切り、レフェリーからはホールディングの反則を取られた。計量で800グラムオーバーしていたアンディが減点1からのスタートだったことに救われた形だった。
試合後には敗れたアンディから「相手の(クリンチ)作戦に負けた。もう2度と試合をしたくない」と痛烈に批判され、「あれだけクリンチしてくる相手はいない。腹が立つ!」と馬鹿にされた。
MAXの創世期はライバル関係にあり、確執も取りざたされた魔裟斗からも皮肉られた。度重なるクリンチで試合を止めたことについて、テレビの解説席で観戦していた魔裟斗からは「(クリンチするのはアンディが)怖いんじゃない!?」と鼻で笑われた。
周囲の冷ややかな反応は露知らず、小比類巻は有頂天だ。優勝インタビューでは「あまり関係ないかもしれないですけど、世間が不況なので、自分が頑張って力になれれば…」と1分以上もダラダラ“演説”した。
ロングインタビューに、谷川貞治イベントプロデューサーからは「空気の読めない小比類巻選手が、見事、KYな優勝して…」と呆れられた。
4年ぶり3度目の日本トーナメント制覇で世界大会への出場権を手にした小比類巻。4・21マリンメッセ福岡で開幕するワールドGPでは、周囲の声を完封する闘いに期待したいものだ。