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ケイリン徒然草 “競輪”普及を阻むアジアの利権

 ワールドカップを見ていると、アジアの自転車競技は成長が著しい。1月の北京ではケイリンでマレーシアのアジズルハスニアワン、1000メートルタイムトライアルもリザルティシンが1分02秒268で優勝、スプリントで2位に中国のツァン・リーが入った。

 日本の渡辺一成(福島)は同種目で12位。ヨーロッパの一流選手は参加しなかったが、それにしてもアジアチャンピオンの日本の座は安泰とはいえない。
 こんな状況は競輪にとっては歓迎できることかも知れない。平成6年に韓国競輪が誕生してから中米のエルサルバドルでも競輪をやりたいという視察団が来日、そのアテンドをしたことがある。古いながらも首都サンサルバドルには自転車競技場があるから、それを利用して「競輪」を行なおうという計画。エルサルバドルの経済をしきっている7家族の一角から持ち込まれたものだった。競輪選手会は幾分かの協力はしたが、当時の自転車振興会はまったく興味を示さず、三つ目の競輪国誕生の資金援助はなかった記憶がある。

 当時のエルサルバドルはニカラグアと共に内戦が終息したばかり。治安の面でいささか不安があり、外務省が出す「危険地区」に含まれていたのかもしれない。
 競輪を始めようという話は台湾やフィリピンでもあった。改修すれば競輪が行なえるバンクがあったからだ。フィリピンではケソン市の競技場で1999年に五大陸選手権のアジア地区大会が行なわれ、シドニー五輪の参加資格を日本が獲ったことがある。だがこの話も当時のエストラーダ大統領の疑惑辞任で水に流れてしまった。
 とにかくアジアにおける競輪開催話は利権が付きまとうだけに、なかなかクリーンにはもっていけない。台湾ではカジノ法案が成立しており、競輪に対するアレルギーも今後は解消されるのではないだろうか。

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