昨年までで1474試合連続フルイニング出場の世界記録、今季も記録を更新中の金本だが、肩痛のために悪戦苦闘している。打撃への影響だけでなく、左翼・金本の所へ打球が飛ぶと、相手チームの走者はためらうことなく、走る。走者・二塁の時ならば、左前安打が出たら、一気にホームを狙う。無死や一死三塁のケースでもタッチアップでホームへ走る。
「試合の大詰めの勝負時に金本をどうするのか。左翼・金本の所へ打球が飛べば、点を取られるケースに交代させるのかどうか。真弓監督は決断を迫られることになるだろう」。田淵OB会長は、こうズバリ問題点を指摘したのだ。
金本の連続試合フルイニング出場の世界記録が大事なのか、チームの勝利が優先するのか。真弓監督は重大決意を迫られるというのだ。確かに、いくら鉄人とはいえ、今月3日で42歳になった金本の衰えは隠せない。大記録ストップのXデーが刻々と近づいているのは、まぎれもない事実だ。
実は、国民栄誉賞を受賞している、2215試合連続出場の日本記録を持つ元祖・鉄人の衣笠祥雄氏(元広島)が、昨年末に金本に対し自己決断を求めている。名球会のゴルフコンペ出場した後に、阪神担当記者から取材をされ、こう答えているのだ。
「ここまで偉大な記録になってしまったら、本人が(止めるときを)決めるしかないでしょう。苦しい決断かもしれないが、リプケンの終わり方が一つの参考になるんじゃないですかね」と。
米大リーグの連続試合記録(2632試合)を持つカル・リプケンが、98年の本拠地・最終戦に出場しないことを自ら申し出て、ピリオドを打ち、その後、3年間、現役を続けた例を挙げたのだ。
元祖・鉄人の衣笠氏の言葉には重みがある。連続試合フルイニング出場の記録を自らストップさせ、重荷を取り去れば、さらに現役生活を延ばせるだろう。もし、記録にピリオドを打つと同時にユニホームを脱ぐというのならば、それはそれで男の引き際として賞賛されるだろう。