愛媛県松山市居相の住宅から、男の声で「助けてくれ!」と叫ぶ声が響き渡ったのは、9月5日午前1時過ぎ。捜査員が駆けつけると、この家に住む矢野力男さん(72)が、玄関から続く廊下で頭部や顔から血を流し倒れていた。矢野さんはすぐに病院に搬送されたが、4時間後、出血多量で死亡したという。
警察はこの家の居間にいた同市和気町に住む無職、山本百合江容疑者(64)を殺人未遂容疑で緊急逮捕し、自宅から持ってきたという柄の長さ33センチ、刃渡り11センチの斧を凶器と断定、押収した。
「矢野さんは10年ほど前に奥さんを病気で亡くして以来、市内の繁華街のスナックへ出掛けたり、婚活パーティーにも参加して自由気ままに一人暮らしを楽しんでいた。その中で知り合った60代ぐらいの女性が数人、身の回りの世話をするために矢野さんの家に出入りしていたそうです」(地元記者)
山本容疑者もその一人で、「以前は矢野さんの一番のお気に入りだった」(知人)という。
「しかし、この知人によれば最近になって50代の小綺麗な女性が出入りするようになり、矢野さんの関心がそちらの女性に移るようになったとのこと。今回の惨劇はそのような人間関係の中で起きたようなのです」(矢野さんの知人)
事件当日夜、山本容疑者は矢野さんと口論になった後、いったん13キロほど離れた自宅へ戻り、斧を持って再び矢野さん宅へやって来て凶行に及んだと見られている。
シルバー世代の恋のもつれによる犯罪が増えているが、執念深さは凄まじい。