まず、大会別エントリー数では2011年が1516組、2012年が1740組、2013年が1885組、2014年が1870組。そして認定漫才師50組に選ばれたユニットの事務所別では、2011年でよしもと・クリエイティブエージェンシーが33組、その他の事務所が17組。2012年でよしもと・クリエイティブエージェンシーが30組、その他の事務所が20組。2013年でよしもと・クリエイティブエージェンシーが29組、その他の事務所が21組。2014年でよしもと・クリエイティブエージェンシーが30組、その他の事務所が20組という数字で、毎年よしもと勢が約6割、認定漫才師50組に選ばれている。
「お笑い賞レースが開催されると毎年、ネット上では“ヤラセ”や“事務所枠の存在”が指摘されていますよね。『THE MANZAI』は吉本興業が主催なので、認定漫才師50組に関しては毎年6割がよしもと勢っていうのは、“ヤラセ”を疑ってしまいたくなりますが、どうなんでしょうか」(芸能関係者)
確かに数字だけみれば“ヤラセ”や“事務所枠の存在”を疑ってしまう。客観的に判断するため、社会統計学が専門で慶応義塾大学の稲葉昭英教授に学問的な観点から意見を伺った。
「どこの事務所にも才能のある人が同じ確率で所属しているなら、50人の内訳は母集団(よしもと、その他)の人数比(漫才師組数の比)となりますが、吉本により才能のある人が多く在籍しているなら、この推計は当てはまりません」
よしもとはお笑い事務所としては日本最大の規模を誇り、芸人の人数も他の事務所と比べてみても圧倒的に多い。つまり、人数が多ければ「才能のある芸人」を輩出する確率も多くなるということか。ただ、4年間連続で6割という比率は非常に気になるところだ。
「才能がある芸人が事務所を移ることが簡単でないと仮定すれば、かつ才能ある芸人は毎年同じくらいの確率で出現すると仮定すれば、母集団における『才能ある芸人』の人数比はどの年次でもそれほど動きません。とすれば、母集団における『才能ある芸人』の比率が4年間ほぼ50組の中に示され続けてきた、とみなすことは可能です。たとえば、東大合格者に占める開成高校出身者の比率がそれほど変化しないのと同じようなものですかね。統計学的にはあり得ないことではないとい思います」
案外、統計学的には驚愕の数字ではないという回答だった。とすれば、“ヤラセ”というよりも、むしろ毎年一定の割合で「才能のある芸人」を輩出し続けているよしもとは、やはり相当レベルの高いお笑い事務所ということになる。よしもと恐るべし!