神の子がK-1の洗礼を浴びた。
2005年5月4日のマイク・ザンビディス戦以来のK-1ルール挑戦となったKID。韓国ムエタイ3冠王の異名を持つジェヒと対戦した。
試合前には、元WBA世界スーパーフライ級王者の戸高秀樹に師事を仰ぐなど、パンチに磨きをかけ、打撃には自信があった。ゴングが鳴ると距離を詰めて、左右のストレートなど、どんどんパンチを繰り出していった。
ところが、左右のフックを放ったところにカウンターの右アッパーを被弾。グラついているところにトドメの左フックをくらって万事休す。マットに崩れ落ち、無常にもそのまま10カウントが打ち鳴らされた。
復活を目指したK-1のリングで、まさかのデビュー最速KO負け。リングサイドで見守っていた俳優の佐藤隆太さんも言葉を失った。
だが、悲劇はこれだけでは終わらない。K-1ルール初挑戦となるまな弟子の山本篤も渡辺一久に3度ダウンを奪われて、KO敗。KID軍団がK-1ファイターに返り討ちにされた。
試合後、KIDは「何にも覚えてないですね。アレ? 試合したのかなって。周りに言われたのは(パンチが)当たって追いかけてった時に、カウンター食らっちゃったっすね」と失神KO負けを振り返った。
誰もが想像していなかった結末。谷川EPも「KID選手がめちゃくちゃ心配です。大スランプに陥ってますね。予想外です」と首をかしげた。
敗因はなんだったのか。この日、KIDの対戦相手はアントニオ猪木のテーマ曲でもある「炎のファイター」のリミックスバージョンで入場。実はこの曲、韓国の人気ヒップホップグループSide-Bが「BOM-BA-YE」という曲でリリースするなど、高い人気を誇っている。
それだけに、猪木パワーがジェヒに力を貸した可能性もある。KIDは“アントンの呪い”に敗れ去ったのかもしれない。
「K-1がオファーをくれればやります。やらせてもらいます」とリベンジを誓った神の子。まだトンネルの出口は見えない。