レースはピンクカメオの意表を突く逃げで幕をあけた。それまで末脚を身上としていたキストゥヘヴンもいつもより前めの好位4、5番手を追走。直線でインを突くと、しっかりとした脚取りでカメオを捕らえ、1馬身振り切ったところがゴールだった。
劇的な勝利をエスコートした横山典騎手は「最高の状態に仕上げてくれた厩舎スタッフと、馬のおかげ」と謙遜したが、その騎乗ぶりはまさに神がかり的。今開催(2回中山)の重賞はこれで4戦4勝と総なめにしている。
人馬とも最高のバイオリズムで臨めたことが相乗効果となって、記録と記憶に残る優勝へとつながった。思い起こせば、同馬が3歳春のときに、初重賞勝ち(フラワーC)を飾ったパートナーも横山典騎手だった。
コンビを組んだのは実に、07年のヴィクトリアマイル(4着)以来、約2年ぶりのこと。「馬はすごく良くなっていた。(直線で逃げ粘る)ピンクカメオの内を突いた時の爆発力は強烈だったよ」。横山典騎手は全身に鳥肌が立ったようだ。
大団円を迎えたキストゥヘヴンは、明日から第二の人生(繁殖入り)をスタートさせる。花婿候補はシンボリクリスエスか、新種牡馬チチカステナンゴが有力だ。