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ヨーロッパの「妖精の輪」伝説! 妖精の世界に迷いこんだ人間はどうなるのか?

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画像はイメージです。

 欧州を中心に、昔から語り伝えられてきた「小さな隣人」妖精。背中に蝶やトンボのような羽を生やし、手に乗るくらい小さな背丈と可憐な容姿、自然の中に潜み普段は人の目には見えないが、様々ないたずらをしたり人間に恩恵を与えるとされてきた。

 そんな妖精にまつわる伝説の一つに「妖精の輪」というものがある。妖精達は満月の夜に輪を描いてダンスを踊る。その姿は人間に見える事がないため、気付かずうっかり人間がこの妖精の輪の中に足を踏み入れてしまうと、妖精の世界に迷い込んでしまって気付けば数百年経っていたり、妖精達のダンスを邪魔したとして手酷い反撃を食らって病気になってしまったりすると言われていた。逆に妖精に気に入られる踊りや音楽を披露するなどして気に入られた場合、逆に妖精達からの加護や贈り物を得る事ができたともされている。

 この「妖精の輪」は通常では見る事が出来ないが、翌朝になると妖精達が踊っていた場所に複数のキノコが輪になって生えるので存在を知る事ができるとされていた。
 普通ならば伝説上の存在である「妖精の輪」だが、これは現在でも自然現象として見る事が可能なものである。

 複数のキノコが輪になって生える現象は現在では「菌輪」と呼ばれており、科学的に解明されている自然現象のひとつなのだ。キノコは個体を増やす際に胞子を放射状に発するため、等間隔かつ円上にキノコが生えてくることになるのだ。

 また、地域によってまったく別の作られ方をする「妖精の輪」もある。アフリカのナミビアで確認された「妖精の輪」は草が円形状に生え、中は地面が露出しているというものだが、これはシロアリが植物の根を枯らしてしまったことと、その結果土地の水分保持能力が高まる事の相乗効果でシロアリに食べられていない部分の植物の成長が進んだためとみられている。また、西オーストラリアでも草による「妖精の輪」が発見されており、こちらも草が生えている所と生えていない所の水分浸透性に違いがあるとして研究対象となっている。

 当時の人々は、自分達が不思議に思った自然現象に対して超自然的なものの存在を見て語り伝えていった。現在、我々は科学でその真相に迫ろうとしているのである。

文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所

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