牝馬は格より勢い。ショウナンラノビアが特大ホームランをかっ飛ばす。
つい最近までダートの条件戦でウロウロしていた馬が、実績(14着が1度)のない芝で1000万→1600万をポンポンと連勝。しかも、今まで行く脚さえ持たなかった典型的な差し馬が見違えるほどのテンの速さでレースを引っ張り、押し切っている。まさに「以前とは別馬」の表現がピッタリと当てはまる。
今年からラノビアを担当している猪田助手は、「もともとトモが甘く、使い詰めで腰もガタガタの状態だったので1月4日のレース後に放牧へ出した。そうしたら、腰がグンと良くなって帰ってきて。復帰戦(ダ1400メートル)の芝のスタート部分でかなりの行きっぷりを見せたので芝を使ってみたら、アッサリ2つも勝ってしまった。ホンマ、シンデレラストーリーですわ」と驚きを隠せない。
単なる勢いと片付けられないのが前走・卯月S(芝1600メートル)の勝ち時計1分33秒5。これは同開催のGIII・ダービー卿CTより0秒2速い優秀なもの。とくに、15頭立ての大外枠でロスが多い競馬だっただけに、余計に価値が高い。
さらに、前回は美浦経由での中山入りという過酷な輸送。それでも、4キロしか減っていなかったあたりに今の充実ぶりを感じる。「さすがに500キロは切るかなと思った前走でも502キロにとどまってくれた。直接、東京に運べる今回の方が全然楽ですよ」
差し馬がそろい、展開も味方。もし、ウオッカが掛かってハナを主張したとしても、「ポジションは出たなりでいい。2、3番手でもしっかりと折り合える」のは心強い限りだ。放牧を境に生まれ変わった6歳馬が、一世一代の大仕事をやってのける。
★★★★★
※★=穴度。MAXは5