「人生とは旅であり、旅とは人生である」というコメントをホームページ上に残し、2006年7月3日に電撃的な引退発表をしてから早2年半の月日が流れた。70カ国150都市以上を回った中田は、依然として旅を続けている。
その間、節目節目にテレビに登場しているのも事実。今年6月、インテルのモウリーニョ監督らが参加した「+1 フットボールマッチ」(神奈川・日産スタジアム)を開催された際には、宣伝として「中田英寿ドキュメント 僕が見た、この地球。〜旅、ときどきサッカー〜」(日テレ)が放送された。報道プレミアA(フジ)にも出演するなど、テレビに出まくりだった。
同時期にマンチェスター・シティからのオファーが届くなど現役復帰説が飛び交ったが、結局のところ動きはなし。「単なる話題づくり」とサッカー関係者の多くが冷ややかな目で見ていたほどだ。
「今回の現役復帰説も全く同じではないか」とうのが業界の定説だ。
実は今月28日からBS民放5局共同制作の「LANDSCAPE 〜アスリート、その視線の彼方〜」が放送される。これはサニーサイドアップ所属の為末大、北島康介、杉山愛、上田桃子らが中田から手紙を受け取り、彼の待つ場所へ出かけて対談するというもの。まさに「サニーサイドアップ所属選手総出演番組」という位置づけだ。
「6月に日テレで放送された中田特番の視聴率が12%台(テレビリサーチ調べ、関東地区)にとどまり、15%はいくと期待した日テレも代理店も失望が大きかった。それだけに中田サイドは危機感を募らせている様子。それで今回は為末に現役復帰の可能性を語らせ、番組の注目度アップを狙っているのでないか」と指摘するテレビ局関係者もいる。
サニーサイドアップが東京ヴェルディに経営参画するという話も少なからず影響がありそうだ。
中田は湘南のスポンサーになるなど、サッカーには強いこだわりを持っており、時々ボールも蹴っているようだ。昨夏、香港で行われた世界選抜の試合にしても、今夏の「+1 フットボールマッチ」にしても、直前に相当過激なトレーニングを課して体調を整えたという。「体力低下は著しく、とてもトップレベルで1シーズンを戦い抜ける状態ではない」と見る専門家もいる。
現役復帰して苦境をさらし、イメージをダウンさせるより、クラブ経営に乗り出した方が中田のプライドを十分満足させられるはず。来季は東京Vのアドバイザー就任。それが騒動の真相ではないだろうか。