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噂の騎士(ナイト)第34回『川越子持ちキャバ嬢の復讐』

 サヤは中学2年生からの夏休みから急にオトナの矛盾に反抗し始めた。

 父親が水商売のオンナと駆け落ちした。父親に捨てられたと思ったことをきっかけに不良少女グループへ、川越の暴走族のオトコに処女を捧げてからは直ぐに3人のオトコと付き合った。中学の卒業式には大きなパーマをかけた金髪が学校側に気に入られず、体育館の壇上ではなく校長室で卒業証書を受け取るハメになった。この後はとりあえず高校に行くのは面倒くさいし、家にこもっているのも近所の目がウザいから高崎の美容学校に通い始めた。

 新しくなるはずの人生もつかの間、妊娠が判った。相手は同じ中学の2歳年上の左官業だ。典型的なデキちゃった婚だけど、学校を辞めて彼のアパートで少し幸せに暮らし始めた。しかし、この一緒になったオトコは自分の父親以上にダメだった。
 給料の殆どを飲み代に、特にキャバクラが大好きだった。家には全然金を入れないくせに、格好つけてキャバ嬢にプレゼント攻撃。サラ金にまで手を出してもキャバ嬢とアフター5をすることを止めなかった。サヤの堪忍袋もここまでと、まだ1歳にも満たない娘を連れてこのオトコと別れ、母親の家に戻った。あんなに蟠りのあった親子関係も自分が子供を持ったお陰でしこりも全く感じなくなった。

 さて、これからどうやって生活しようか。母親は自分が働くスーパーで、と誘ったが、サヤには大きな野望があった。あのバカの元ダンナに復讐してやる。一人娘は母親に預けて、さいたまのキャバに勤め始めた。最初の時給は1500円、午後5時から夜中の1時まで。中卒で働けるだけラッキーと思っていたのも最初だけ。だけどオンナだけの世界はどこも同じ。どこにでもイジメはあるわけで、ドレスは隠される、ワケの解らないウワサをさせるなどなど。でも金のために働いている元ヤンのサヤには全く堪えなかった。

 ある日、案の定元ダンナは店にやってきた。サヤを見つけるなり、真っ赤な顔して怒鳴り始めた。アンタとはもうとっくの昔に別れているのに、自分のオンナと思うなんて何て厚かましい野郎なの。店長に頼んで、野郎を出禁にしてもらった。噂では、その後地回りのお兄さんたちに大分可愛がられたらしい。キャバ嬢になって何か月か過ぎると、だんだん仕事が面白くなっていった。時給も上がった。2LDKの小さなアパートから一軒家に引っ越すことが出来るくらい稼ぐことが出来るようになった。娘が2歳と少しになる頃に、駆け落ちした父親がオンナに捨てられて一人暮らしをしているらしいと、忘れていた人物の噂を久しぶりに耳にし、少し嫌な気分になった。ついでに少し勝ち誇ったようにもなった。

*写真は本文とは関係ありません

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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