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キャバ嬢のちょっと怖い話 雑誌でお部屋を公開したら、客が観葉植物持参で実家にやって来た

 <モデルじゃ食えないからキャバクラ勤めを>

 ギャル雑誌のモデルをしながら、キャバクラでバイトをしている女の子はかなり多い。ギャル誌のモデルは、事務所に所属するプロのモデルとは違いほとんどが素人。ギャラは安いが、雑誌で活躍することがステータスなので、服に化粧品に交際費にと出費も多く、必然的にお水をやっていたりする。新宿のキャバクラ『D』の篠原葵さん(仮名・21歳)も、黒肌お姉ギャル雑誌『S』の読者モデル。毎号誌面を飾り、専属モデルと遜色のない活動をしている。

 「とにかく服代がハンパじゃない。専属の子も他にバイトしてるし、風俗やってる子もいる。モデル以外に仕事をしていない子は、彼氏が、闇金か詐欺師。オレオレ詐欺ね。あとは893の愛人。これ鉄板。ギャルはブラックボーイズ大好物ですから」
 他の女の子の反感や妬みを買いがちなので、お店ではモデル話は控えているそう。「撮影中のハプニングとか話していると、“またあの子自慢してるよ〜”とか言われてイジメられるから。結構気を使っていますよ」女の世界は何かと大変。
 それでもモデルであることは、付加価値であり、休日デート等々を断る際にも便利なので、彼女目当ての常連客は知っている。「たまに雑誌買ってる人もいるみたいだけど、そこまで興味持つ人はほとんどいない。だってオジさんがギャル誌買ってたら引くよねえ」しかし中には、雑誌は毎月切り抜き用と保存用と2冊を購入し、表情のアレコレから化粧の違いまでチェックしているマニアックな客も存在する。
 「キモ嬉しいって感じ? 雑誌情報から化粧品とか香水とか消耗品貰えるのがいい。あとは好きなブランドとかもチェックしてるから新作をプレゼントしてくれたり。でもかなりイッちゃってる人もいる。Wさんって言うんだけど。キャバの私じゃなく、モデルの葵に“萌え”なんだって」
 プレゼントをくれる際も、「これ葵ちゃんに渡してね」といった具合。Wさんの中では、目の前にいるキャバ嬢の葵さんは、モデルの葵の友達のようなポジションらしい。「勘弁してよ〜と思ったのは、お部屋紹介で家を特定されちゃったここと。住んでる場所は前に話したことがあったし、部屋の窓の形が結構変わってるから、分かったのかも」

 <ソックリ部屋を作るのに3か月かかった>

 ある日、玄関のチャイムが鳴り、出てみるとWさんが、自分の身長ほどもある観葉植物の鉢を持って立っていた。
 「お気に入りのベンジャミンが枯れちゃったって書いてたでしょう。大きいから持って来たんです」
 お店でしょっちゅう会っているのに、初対面のようにオドオドと緊張していたそう。
 「“押しかけちゃてすみません。私こういう者です”とか言って名刺まで出すの。絶対変だよね。実家だったからウッカリ開けちゃったけど、一人暮らしだったら、これって相当怖い展開だったかも」
 その後、お店に来たWさんに、「葵が家には来ないで欲しいって言ってたよ」と伝えると、Wさんは非常に申し訳なさそうに小さくなってしまった。「そういうの見ると、変だけど悪い人じゃないのかなって。ファンってこんなものかなとか思っちゃうんだけど」

 しかし、この出来事にはさらに後日談がある。その後何事もなく穏やかに数か月が過ぎた頃、Wさんから数枚の写真を見せられた。それは葵さんの部屋の写真。すわっ不法侵入か! 身構えた葵さんだったが、よく見ると窓の形や天井などが違う。「いやあ、苦労したよ葵部屋。完成まで3か月かかっちゃった」Wさんは葵さんの部屋ソックリに自分の部屋を改造していたのだった。
 「照明とか家具とかはもちろん。ラグとかオブジェとか…」メーカーなど特定出来るものは同じ商品。その他ラグやカーテン、置物等々は限りなく似ているものを探し回ったという。唖然とする葵さんを前に、Wさんは実に得意気。
 「たださあ、雑誌だとCDのタイトルが見えなくて。葵さん、葵ちゃんに何のCDか聞いておいてくれる?」これには開いた口がふさがらない葵さんであった。

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