「一例が、日本の年金情報流出事件の発覚と同時期に起きた、米政府機関『連邦人事管理局』のコンピューターシステムハッキング事件なのです。同事件では、連邦政府職員400万人分の社会保障番号、職業上の任務、人事評価、研修状況などが盗まれたが、FBIの捜査を経た米政府関係者は、中国の攻撃であることを公言している。メディアは挙って中国を名指しで批判しているのです」(同)
また、これとは別に米国は'10年に中国人民解放軍海南島基地部隊(隊員数約1100人)が、中国のサイバーテロ部隊であると断定。昨年4月には、この組織の5人の中心人物を所在不明のまま産業スパイとして起訴し、顔写真まで公表しているのである。
さらに、もう一方の疑惑国と見られる北朝鮮もここ最近、中国に引けを取らないサイバーテロを仕掛けまくっているという。
「その最たるものが昨年暮れに起きた、金正恩暗殺のパロディー映画を製作したソニーの米子会社へのサイバーテロなのです。この攻撃にあたったのが、北朝鮮のサイバー部隊である偵察総局121局と言われている。また、北は'09年から韓国に対し、何度も大規模なサイバー攻撃を仕掛け、'13年3月には韓国内で約5万台のコンピューターを停止させている。ネットバンキングを遠隔操作し、金を奪い取る攻撃も頻繁で、一説には欧米から年間10億ドル(約1200億円)もかすめ取っているそうです」(政治部記者)
こうした経緯を見る限り、中国か北朝鮮の犯行説は極めて濃厚と言わざるを得ないが、問題は仮にこれらの国々の仕業だとすれば、その狙いは何かという点だろう。前出の公安関係者によれば、「両国には日本にサイバー攻撃を仕掛ける明らかな理由が存在する」というのだ。
「ご存じの通り、中国は右傾化する安倍政権を目の敵にしている。そのため、かつて第一次安倍政権を倒壊させた消えた年金騒動の再現を狙ったとも言える。また、北朝鮮の犯行だとすれば、拉致問題の行き詰まりに焦れた安倍政権が、マツタケの密輸で朝鮮総連議長の息子を逮捕したことに対する報復とも考えられる。いずれにしても、両国はここ最近、政治的に日本への憎悪を増幅させており、今回のサイバーテロがどちらかの仕業である可能性は極めて高いのです」(前出・公安関係者)
となると、来年1月から我が国では国民一人一人の金融、年金、税金情報などを一元化した「マイナンバー制」が導入されるが、これが両国のサイバーテロにさらされる可能性は極めて高そうだ。