大阪府教育委員会は東大阪市立縄手中学校の男性教諭(45)が、教員免許を持たないまま15年間にわたり、市立中学校計4校で授業を行っていたことを明らかにした。
府教委では2月20日、男性を採用日にさかのぼって失職扱いとし、給与の返還請求などを検討しており、有印公文書偽造や教育職員免許法違反などの罪にあたる可能性もあるとみて、大阪府警に相談している。これだけの長期にわたり、教員免許を持たない者が、授業を行っていたのは異例中の異例。
男性は大学を卒業できず、中退したため、教員になる資格要件を欠いていたが、府教委の採用試験を受験したところ、合格してしまった。友人に借りた免許状の名前や番号を書き換えて、コピーを提出していたが、府教委は見抜くことができなかった。
今年1月、初めて教員免許の更新手続きの対象となり、同30日に府教委に偽造した教員免許状のコピーを提出した。ところが、府教委が男性の免許番号をシステムに入力すると、別人の名前が表示された。府教委は、男性に大学の卒業証明書の提出を求める一方、大学に照会すると、卒業していなかったことが判明。男性を追及すると、大学を卒業していない上に無免許だったことを認めた。
その動機を、男性は「教員になると周囲に言い続けていた。受かると思っていなかった教員採用試験に合格したので、免許状を偽造した」と話しており、「いつばれるかとドキドキしていた。生徒たちに申し訳ない」と謝罪しているという。
男性は99年4月に採用され、縄手中には07年から勤務し、社会科を担当。1年生の学級の副担任で、女子バスケット部の顧問も務めていた。
このニセ教師の授業を受けた生徒の卒業認定や在校生の進級認定は有効だが、不安を感じる生徒に対しては、補習などを検討するとしている。
府教委では再発防止策として、今後、採用時に教員免許状の原本の提示を求めるよう改善する方針だ。
(蔵元英二)