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シーズン総括 キャンプ直前補強はあるのか? 巨人編

 67試合登板、20セーブ。クローザー・久保裕也に繋ぐ必勝パターンが確立されるまで、時間が掛かりすぎたことも敗因ではないだろうか。

 アルバラデホを新クローザーに据える構想は早々に崩れ去った。彼が巨人と契約した時点から制球難を指摘するメジャー通も多く、また、キャンプ、オープン戦を視察したライバル球団スコアラーは「クイックが全然出来ない」と失笑…。育成枠出身のロメロが健闘した時期もあったが、7月13日には開幕投手も務めた東野峻を救援で起用。翌14日にはラミレスがスタメンから外れ、『連続4番出場試合数』は「469」でストップした。投打ともに危機的状況は広がり、小川ヤクルトの独走を許してしまった。

 統一球の影響もあっただろうが、不振者と故障者がこれだけ重なったシーズンも珍しい。
 まず、開幕直前に阿部慎之助を欠いた。阪神との練習試合で右ふくらはぎを痛めたのだが、復帰は27試合目。正捕手復帰でチームの雰囲気も代わると思いきや、今度は小笠原道大が死球故障で登録を抹消…。小笠原は開幕から不振が続き、その復調の兆しも掴めず、喘いでいた。期待の新人・沢村拓一は打線の援護に恵まれず、好投しても勝ち星が付かない日々が続いた。
 巨人の勝ちパターンは重量打線が爆発し、それに投手陣もノッていくというものだった。
 2010年と2011年の攻撃陣の成績を比較してみると、チーム平均打率は2割6分6厘から、2割4分3厘(4位)にダウン。総得点「711」(2位)も「471」(3位)へ、総本塁打数は「226」から「108」(1位)。打点は「687」から「455」(3位)に。統一球の影響で打線の爆発力は確かに落ちた。しかし、チーム総得点はセ・リーグ6球団全てが大幅にダウンしており、同部門1位のヤクルトが「484」、2位阪神の「482」と比べてもさほどの差はない。盗塁部門だけは2010年の「96」(2位)から「106」(1位)にアップ。藤村大介の成長によるものであり、犠打「124」(リーグワースト)と犠飛「24」(5位)の“チーム力”の部門を強化すれば、一発が出なくても勝てるチームに変貌できるのではないだろうか。
 2011年のキャンプ中、確かに巨人は前年以上にバントの練習に時間を割いていた。それが結果に結びつかなかったのは選手の危機意識の低さであり、首脳陣の責任でもある。

 対戦カード別の勝敗表を見てみると、対中日戦が12勝10敗2分け、対ヤクルト戦が8勝12敗4分け、4位の対阪神戦は11勝11敗2分け、対広島戦が16勝6敗2分け、対横浜戦が14勝10敗。ヤクルトの本塁打王・バレンティン(31本)、同部部門2位の畠山(23本)、170安打、73得点の青木のいる打線は確かに脅威だった。しかし、ヤクルトは「171の犠打」(1位)をマークしたチームでもあり、チーム総合力が高い。阪神戦で勝ち越せなかったのは能見、岩田という苦手投手がいたからだろう。

 新人王、首位打者、盗塁王、最多勝を輩出しても「3位」ということは、いかに「巨人の野球が大雑把」なのかを象徴している。
 巨人は2ケタ借金から逆転で優勝したシーズンが1度もない。その点では24勝34敗4分けとなった7月7日時点で2011年シーズンは終了していたのかもしれない。杉内、ホールトン、村田を補強したが、ヤクルトのように犠打・犠飛絡めて得点を挙げる攻撃スタイルも出来なければ、主力選手の故障、不振に左右される悪循環を繰り返すだけである。

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