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シーズン総括 キャンプ直前補強はあるのか? オリックス編

 2010年のドラフト会議で放った岡田監督の『眼光』が思い出される…。チーム盗塁数はリーグワーストの「49」。2010年ドラフト会議で岡田彰布監督(54)は1位入札の抽選クジを外しまくり、後藤駿太(18=登録名『駿太』)の獲得がやっと決まったとき、楽天・星野監督が失笑した。岡田監督は下唇を噛み、星野監督を一瞥した。「絶対に凄いリードオフマンに育ててみせる」−−。そんな決意を秘めていたはずである。その高卒1年目のルーキーを開幕スタメンで起用したのは、単なる“私怨”ではなかった。攻撃陣の弱点はリーグワーストの盗塁数からも窺えるように、『機動力』である。

 現有メンバーを見ると、走ろうと思えば走れる選手も少なくない。しかし、2011年犠牲フライの数値を見てみると、打者の方にも「走者を進める、本塁に返す」という意識が希薄だと言わざるを得ない。年間の犠牲フライは僅か「30」…。また、『犠打』だが、オリックスはリーグ4位の「145」。年間を通して、もっとも『犠打』が多かったチームは埼玉西武の「158」。大差はないが、両チームを『チーム総得点』で比べてとると、埼玉西武は「571」(1位)で、オリックスは「478」(4位)になる。年間総安打数では埼玉西武が「1204」(リーグ2位)で、オリックスが「1172」(同4位)。埼玉西武には本塁打、打点の二冠王に輝いた中村剛也がいたとはいえ、年間総安打数で30本程度しか違わない。総得点部門で「100」以上も違うのは、『走塁能力』と「走者を進める、本塁に返す」というチームバッティングが出来なかったからだろう。この差が、3位争いの明暗を分けたのではないだろうか。
 チーム盗塁数「49」はリーグワースト。チームトップの盗塁数は後藤の「14」。盗塁数が「20」到達しないのがチームトップになったのは、オリックスだけだ。

 4、5月はエース・金子千尋の故障離脱も重なって、最下位にも喘いだ。交流戦で15勝7敗2分け(2位)といったんは浮上しかけたが、7月上旬の11試合で「1勝9敗1分け」と大きく負け越し、連勝、連敗を繰り返しした。そんな好不調の波が激しかったチームのなかで、安定した成績を残したのは、後藤光尊だろう。自身初の3割越えの好打率(3割1分2厘)とリーグ最多安打のタイトル獲得もそうだが、『連続出塁試合数43』はもっと評価されてもいいのでないだろうか。安打での記録更新は26試合、9月16日の千葉ロッテ戦で途切れたが、後藤はこの試合で四球を選んでいる。8月11日の東北楽天戦で4番に入り、史上9人目となる『全打順本塁打』をマークしたように、バットを振って結果を残せる選手である。なのに、「四球を選んで次打者に託す」という姿勢は本当に凄いと思う。

 移籍2年目のバルディリスは9月こそ5ホーマーだが、埼玉西武との3位争いの大一番となった10月は2本…。期待された李承●(●は火へんに華)(イ・スンヨプ)は9月以降に7本塁打を放ったが、シーンを通しては15本塁打と奮わなかった。2010年本塁打王のT-岡田は16本塁打と“試練の年”となってしまった。岡田監督が韓国の大砲・李大浩の獲得に躍起だったのは、後藤が出塁した後のクリーンアップに安定した爆発力が見られなかったからだろう。
 約2カ月半の離脱があったとはいえ、エース・金子千尋は2ケタ勝利に到達。中山慎也、西勇輝の成長、横浜から移籍してきた寺原隼人の復調は大きかった。33セーブの岸田護、72試合に登板した平野佳寿といったリリーフ陣の“安定感”も考えると、オリックスは攻撃の戦略を建て直し、リードオフマンがプラスされれば、優勝を狙えるのではないだろうか。

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